【総評】
高校生は一般に顧問の指導によって一定の型に入っていくのだが、そこから抜け出して自由な発想で撮られた作品があり、将来が楽しみだ。技術はとても高いので、「なんとなく撮れちゃった」という写真も多いが、その年代の時しか撮れない写真があるので、今の感性を大切にしてもらいたい。
大人だったらこういう写真を撮って、こういう組み方はできない。モチーフも時間軸もバラバラだが、一枚一枚しっかり決めて撮っていて、全体としてまとまっている。2番目の人物を下から撮った写真も効いている。大人の頭の固さを反省させられるような作品だ。
2枚目でグッと寄っていき、3枚目で引いて崩している、そういう組写真の組み方、距離感の取り方、レンズの使い方が面白い。被写体がカメラを意識しているコマがあり、客観的に撮ったコマもある。それぞれのメリハリが効いていて、バランスもすばらしい。
完成度が高くスナップのお手本のような作品だ。人の配置、電線の入り方、奧の建物など、構図がすばらしい。作者はいろいろな情報をファインダーの中で整理できる人なのだろう。手前で走り抜ける少年の動きもいい。ガードマンたちの視線や、休んでいる人との対比が絶妙だ。