【審查委員】
榎並 悦子 (写真家、全日本写真連盟副会長)
ハービー・山口 (写真家、日本写真芸術専門学校校長)
オカダキサラ (写真家)
椙野 充義 (高等学校文化連盟全国写真専門部事務局長)
加藤 丈朗 (朝日新聞東京本社 映像報道部長)
橋本 弦 (朝日新聞大阪本社 映像報道部大阪担当部長)
松井 寛 (全日本写真連盟 理事)
久松 弘樹 (全日本写真連盟 総本部事務局長)
※敬称略、肩書は審査当時
「全日本写真展2024」(全日本写真連盟、朝日新聞社主催、全国高等学校文化連盟後援)の審査が朝日新聞東京本社でありました。「身のまわりのくらしや風俗から経済・政治まで、独自の視点で『いま』を切りとる」がテーマ。応募者1,314人、応募作品4,794点から、入賞作品93点(一般の部54点、中高生の部39点)が選ばれました。
【総評】
全日本写真展の特徴とも言える、全国各地の「空気感」が伝わるような作品が集まった。中でも、新しい視点だったり、驚きを届けてくれたりするような作品が最終的に上位に選ばれた印象だ。
テーマ性や表現の斬新さ、完成度を見ると、新型コロナから日常が戻りつつある中で、わずかでも希望を見いだし、かつてのような自由を取り戻したいという作者の思いが作品から伝わってきた。そうした思いからか、明日同じ場所に行っても同じ写真が撮れるわけではないと感じさせるほどの、まさに一瞬を切り取った作品が数多く並んだ。
中高生の部では、個々の作品のレベルが高く、バリエーションも豊富だった。インスタグラムやTikTokなどSNSを通じて毎日多くの写真を目にしているだけに、自分の作品を表現することは大変だったろう。それでも日常的に写真を撮り、表現方法を考えながら目の前のものと相対している印象を受けた。その感性を大切にしながら、これからも今の気持ちを大切にして撮り続けて欲しい。
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地元の祭りなのか、作者にとって良いシーンがたくさんあったのだろう。選んだ3枚の写真の構成が秀逸で、三者三様のドキュメンタリーが展開されている。「強弱」や「引いて近づいて、また引いて」といった状況をうまくまとめ、まるでオチがあるような、思わずクスッとさせる作品にもなった。