第40回秋季合同例会開催される
9月3日(日)に栃木県宇都宮市文化会館において全日本写真連盟理事長代理・渡辺幹夫氏を迎えて秋季合同例会が開催されました。応募者81名、作品数233点の出品数でありました。
午後1時より開催され午後4時半まで審査講評をしていただき会員からも来てよかったと喜んでおりました。講評のなかで、光の読み方、とらえ方。構図、アングル、撮る時のポジションと多岐にわたりアドバイスをいただきました。関東本部事務局から松井美幸さんにもおいでいただき、感謝申し上げます。
入賞作選評
全日写連理事長代理 渡辺幹夫
《総評》
デジタルカメラの進歩で、写真は誰にでも簡単に撮れる時代になりました。しかしながら、写真で「何を伝えるのか」、あるいは「何を感じてもらうのか」はフィルムの時代から何も変わりません。だからこそ、撮影者独自の感性で切り取り、落ち着いたカメラワーク、さらに的確なシャッターチャンスを生かした作品が求められています。
第40回全日写連栃木県本部「秋季合同例会」には、8支部の会員と個人会員から約233点の作品が寄せられました。どの写真も力作揃いで優劣がつけがたい印象でしたが、狙いが明確で、伝わるものを感じた作品を今回は選びました。写真は撮れば撮るほど難しいものです。頭で描いた狙い通りの写真はほとんど撮れず、ちょっとした偶然で生まれた一コマに一喜一憂するものだと考えます。
みなさんが日頃養う研ぎ澄まされた感性こそが、価値ある一枚につながると信じます。緑豊かな自然に触れながら、そこにいきる街の人たちを撮っていただけたらと思います。
都市圏の一極集中による地方の過疎化は深刻だ。人口流出と少子化の波を受けた街は、荒廃が進んでいる。かつては子どもたちの歓声が響いていただろう廃校を、堂々と正面から切り取った力作だ。深い色合いと大胆な構図がさらに悲哀を増している。
木立のなかで偶然見つけた光景なのだろうか。絶妙なシャッターチャンスである。雨露の水を飲もうとするリスの愛くるしいしぐさがとても印象的だ。逆光気味の光にリスの毛並みが輝き、構図もバランスがとれていて好感が持てる写真となった。
ちょっとしたスナップとはこういうものなのだろう。お祭りでの一コマをコミカルに、そしてやさしいまなざしで写真撮影している。下足を整えようとする神主さんと花嫁姿の女性がほほえましい。撮影者の温かみが伝わってくる。
「化粧顔」 佐川栄治(那須)
隈取り化粧を施した農村歌舞伎の役者を大胆に切り取った一枚。目のキャッチアイがいきていて、印象的な写真だ。一瞬、何ごとが起きたのかと思わせる摩訶不思議な様相に、吸い込まれるようだ。落ち着いた色合いで、化粧の質感もいい。