◆高校生の部 総評
相変わらずの西高東低だが、全体としては昨年よりレベルが高かった。組み写真でいい作品が多かった。ただ、写真の強さという点では単写真の方が上だった。上位作品は一般の部でも通用するレベルにある。作品数は少ないがやっていることの幅が広く審査していておもしろかった。組み写真に果敢にチャレンジする姿を感じた。逆に大人は単写真に逃げているように思えた。銀賞に入った組み写真は高校生と思えないくらいのテクニックでびっくりした。来年が楽しみだ。
■組写真の作品は、システム上最も大きく表示される並べ方をしています。
選手の配置が絶妙だ。画面を斜めに切るような強い影が競技後の「明暗」を分けている。誰が主役というわけではなく、同じ高校生として頑張ったみんなが主役だ。それだけにドラマを感じる。単にスポーツを撮りに行ったのではなく、心の中で作品をねらっていた。ほとんどの場合、そのねらいははずれるのだが、カメラを持って出かけ、何度も通い続けることで、思い描いていたシーンにとっさに対応し、それをきちんとものにした。運のようだが運ではない。この作品が撮れたすごさがそこにある。
鏡に映った自分の顔を真剣なまなざしで見ている写真が強く訴えかけてくる。あえて横位置にしたものよい。光の加減、メリハリの付け方、飽きさせない展開が見事だ。おじいちゃんの表情もすばらしい。ちょっと残念なのがタイトル。もっとほかに言いたいことがあったはずだ。おじいちゃんと孫の共同作業はほほ笑ましい。
傘に立ち込める煙がすごい。煙玉(けむりだま)を傘の根本に縛り付けているという。今までない発想だ。青い色調がいい。煙と相まってカタカナのタイトルの「もやもや感」がよく表現されている。暗い場所での撮影なのかストロボ光によるきつい影が目立つ。周辺が暗く落ち込んでいるのは、もしかしたら、ストロボ光を望遠側にセットして広角レンズで撮影したのかもしれない。そんなねらいがあったとしたら、相当な発想力だ。
フレーム(額縁)を使った作品はよくあるが、絵画のように静的に見せるのがふつうだ。だから、真ん中の作品のように階段に置いて動的に扱ったのは新鮮だった。ふたりの笑顔がかわいらしい3枚目の写真が上2枚のテンションをうまく断ち切っているのがいい。楽しみながらのびのびと撮影している。大人びた作品が目立つなか、高校生らしさがよく出たさわやかな作品だ。この大きなフレームを誰がどうやって現場に持ち込んだのか。撮影者を含めた3人のやりとりを想像したくなる。