「朝日写真展」は全日本写真連盟創立時の1926年(大正15年)に開催された「日本写真大サロン」に起源し、その後名称を変えてから81回目を迎える最も歴史ある写真展です。
第81回朝日写真展は、審査委員長に全日写連副会長の写真家・榎並悦子さんを迎え、全国から230人、986点の作品が寄せられました。
審査の結果、朝日大賞には藤吉修忠(和歌山県)の「はずかしいー」が選ばれました。
■審査委員長 榎並 悦子 (写真家・全日本写真連盟副会長)
■審 査 員 山中 健次 (全日本写真連盟総本部理事兼関西本部委員長)
澤野 二朗 (全日本写真連盟総本部理事)
橋本 弦 (全日本写真連盟関西本部長)
【総 評】
いつの時代にもみなさんの感性と巧みなカメラワークで切り撮られた作品が、このコンテストを支えてきました。応募総数はやや減少したものの、内容的には写真の力を十分に発揮した佳作が多く集まりました。昨今は人物にカメラを向けにくい時代といわれますが、朝日大賞は顔を写さずして、女学生の個性を伝える至妙な作品に決まりました。また上位の作品はいずれも被写体の魅力に加え、画面構成のうまさが光る作品でした。
(審査委員長 榎並悦子)
■主催 全日本写真連盟関西本部 朝日新聞社
■協賛 株式会社エツミ
◆入賞作品展示◆
日時 : 4月17日(木)~ 23日(水)最終日は15時まで
会場 : 大阪市北区 中之島フェスティバルタワー13F
※期間中常時展示ですが、照明施設がないので日没までのご来場をお勧めいたします
講評 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
女学生のカバンには「推し」のキャラクーグッズがいくつも付けられていて、目を引きます。顔を覆った手が、画面上部の重要な要素となりました。友だちと一緒にいても常にスマホを手にしているところにも、現代がよく表れています。
講評 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
鶏小屋の前に置かれたスープ鍋が否応にも目に留まり、ニワトリの行く末を想像させます。見る側の感情移入を巧みに利用して、哀しさを盛り込んだブラックユーモアが見事です。カラーだとトサカの赤が生々しかったでしょう。モノクロにしたことが正解でした。
講評 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
生後間もない赤ちゃんと、両親との記念の写真。足の裏だけでまとめたところが楽しく、また個性的な作品となりました。ご両親の足裏は、片方ずつにしてバランスよくまとめているところにも作者のセンスを感じました。
講評 関西本部長 橋本 弦
上品という言葉がぴったりの和装のご婦人。スマホで見ているのは孫からのメッセージなのか写真なのか。穏やかな表情をとらえた良い写真です。座っているのは公園ベンチでしょうか? そんな場所に大きな荷物を持って座っているのはよく考えると意味深です。
講評 総本部理事 山中健次
造りを見ると二階建ての由緒ある家だったようです。しかし、今は大きく壊れて住める状態ではなく、廃墟になっています。主がいなくなったからか、桜花も少しで寂しそうです。地方の悲しい現状を表現しています。