優秀賞「行春やひと言ぽつり店閉める」 打越榮(茨城県)
どれほど長くこの家庭料理、いやおふくろの味の店を続けていたのか、ママの背中にその歳月がしみ込んでいます。作者は、この味にほれ込み通い続けたに違いなく、「店を閉める」と告げられた時のショック。春も過ぎ去ろうとする夕暮れの情感のなかに、やるせない気持ちとせつない心情が渦巻き、打越イズムのある素晴らしい作品です。
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入選「憂きことはすべて流せよ春の川」 中川富夫(京都府)
満開の桜が枝を垂れる光景は美しく見事で、心もウキウキしてきます。この光景を独占するかのカヌーも羨ましい感じです。しかし、この川の流れに託す憂鬱さは何か。なんとも心情の深さを思わせる句です。句と写真とのこの落差がコラボを重層的に作り上げました。
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入選「早春や瀬戸内海の魚寝る」 宮西沙月(岡山県)
昔から瀬戸内海は海路として、重要な役割を持ち、日中は大型、小型の船舶が激しく行き交っています。そういった光景を眺めながら、西に陽は傾はじめ、海中の魚たちに心を寄せているようです。瀬戸内、早春とくれば「寝る魚」は「鯛」でしょう。いい感じのコラボです。
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佳作「夏祭り思い出橋が遠くなる」 内藤爾美(千葉県)
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佳作「日永かな犬にも好きな道のあり」 福岡育代(東京都)
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佳作「春の空謎解きせよと問いをかけ」 北澤敏男(長野県)
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佳作「ゆく春やうつろう心止められず」 西村美枝(長野県)
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佳作「存在の意義なぞえ-やん草青む」 神長誉夫(兵庫県)
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佳作「母の日やおしゃれする母見送りぬ」 岩谷文勝(福岡県)
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選者作例「被爆樹の二世気高し広島忌」 中谷吉隆(俳号 龍子)
日本写真協会賞の功労賞を頂いた。受賞理由の中に「フォト俳句」の伝道師としての活動が認められ嬉しかった。皆さんの熱意の賜物である。
戦後80年の八月六日がやってきた。平和記念公園に植えられた被爆二世の梧桐が育っていたが、今日その生死が問題視され心配だ。写真は、本川小学校の原爆資料館にある模型。原爆投下後に壊滅した市内の様子で、原爆ドームの上空の赤い球が原子爆弾の爆発した地点である。
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