優秀賞「初詣厄除招福縁結」 中川富夫(京都府)
やりますネー中川さん。まずは唸り、しばらくしてニヤリです。唸ったのは全て漢字の句の内容の深みと、おせち料理の写真とがいい具合に響き合うから。ニヤリはあまり立派ではないおせち料理の中身です。これが豪華な塗り物お重箱のおせちであれば、フムフムですが、句の重みと料理の軽みの落差がめちゃめちゃ面白い。いいコラボの完成です。脱帽。
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入選「秋の森かさと音して振り返る」 嶋川龍雄(青森県)
静かさが支配する秋の森を散策。枯葉を踏んだ、いや何かの音に振り返り、眼にしたのはかわいらしいキノコたち。耳にした音は、このキノコが地中から顔をだした音か、と思うと大自然のドラマに心は弾んで豊かになります。味わいのある奥行きの深い作となりました。
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入選「熱燗のふいに恋しくなりにけり」 打越榮(茨城県)
何とも気をそそる物体です。キノコいや徳利が笠をかぶっている?正解は、ちょこを被った徳利。小原庄助の墓だそうで、「朝寝、朝酒、朝湯が大好き」の庄助さんを彷彿させます。北風に吹かれ眺めている間に、熱燗を欲し、近くの居酒屋に入り込んだ作者。分かりますねー、
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佳作「装いてやがて眠れる枯野かな」 西村美枝(長野県)
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佳作「びいどろに閉じ込む記憶懐古する」 佐塚たから(長野県)
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佳作「吐く息に眼鏡曇りて聖夜かな」 松林義明(兵庫県)
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佳作「ハロウィンや怪物と乗る山手線」 福岡育代(東京都)
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佳作「母からの流儀引き継ぐ観月会」 久保和子(兵庫県)
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佳作「フワフワとあなた任せに年暮るる」 小杉美千代(神奈川県)
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選者作例「如月や米寿の宵のヴィーノロッソ」 中谷吉隆(俳号 龍子)
二月が誕生月で満八十八歳の米寿。居住区福祉部から「ことぶき祝い金」を頂戴した、ありがたいことである。若い頃、取材で海外へ良く出かけた。旅の楽しみのひとつは食事だが、言葉がうまく通じず、朝昼晩同じものを口にしたこともあった。イタリアではペンションに泊り、量り売りのワインを買い晩酌を楽しんだ。ヴィーノロッソは赤ワインのこと。
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