選評 中谷吉隆(写真家)
【総評】
写真、俳句とも、写生、写実的、心象、心情的な捉え方をします。この組み合わせが、例えばスナップや風景でも写実したものに写生句を合わせると説明調になりやすく、注意が必要です。このコラボの妙味が「フォト俳句」の楽しみでもあります。そして何より新鮮味が大切です。私も常に、芭蕉の「新しみは俳諧の花なり」を心に置いています。
【全日写連会員の皆様よりフォト俳句の作品を募集します】
第24回いつでもどこでもフォト俳句(2025年1-2月合併号)の『締め切りは11月10日』です。
【投稿の方法】
応募は郵送(2Lサイズ)かメール添付(JPEG)で、
写真の裏に、①自作の俳句、②住所、氏名を明記してください。
一人5句まで。作品は返却しません。
〒104-8011 朝日新聞東京本社全日本写真連盟「フォト俳句」係
メール:ajaps@photo-asahi.com
八月のお盆に行われる「黒石よされ」。徳島の阿波踊り、岐阜の郡上踊りと、日本三大流し踊りの一つで町中が賑わいます。男女の恋の掛け合いからはじまったとも言われ、津軽弁の唄には味わいがあります。山車の三味線弾きと提灯の画面にインパクトと雰囲気があり、歴史ある踊りへ寄せる想いの句と響き合います。味わい深い作となりました。
色鮮やかなレンゲツツジの雄しべにピントを求めてのクローズアップ。作者としては珍しく花を題材にしての作。撮影中に女心が動いたとのこと。女心とはなかなか理解しえないところがありますが、これも溽暑という不快な暑さのせいでしょうか。心情を見事に一作としています。
いいですねー若葉に囲まれた小枝の上で、いい風を感じながら昼休みしている猿クンは、作者の化身でしょう。こんな情景を見ていると、都会の喧騒から逃げ出したくなります。この擬人化が実に効いた作で、こういった発想が生まれてくると、作品づくりの幅が広がっていきます。