選評 中谷吉隆(写真家)
【総評】
味わい深い作、ウイットのある作などが揃いました。気になったのは、俳句に二重季語が多かったこと。その中に一年中身近にあり季節感を感じなく、季語なのに知らずに使ってしまうケースがあります。「バナナ」などもその一つで、エッこれが季語なのと驚きます。俳句を始めた当初、句会でさんざん指摘され、歳時記で確認する習慣がつきました。
【全日写連会員の皆様よりフォト俳句の作品を募集します】
第22回いつでもどこでもフォト俳句(2024年9-10月合併号)の『締め切りは7月10日』です。
第23回いつでもどこでもフォト俳句(2024年11-12月合併号)の『締め切りは9月10日』です。
【投稿の方法】
応募は郵送(2Lサイズ)かメール添付(JPEG)で、写真の裏に
①自作の俳句②住所、氏名を明記してください。
一人5句まで。作品は返却しません。
〒104-8011 朝日新聞東京本社全日本写真連盟「フォト俳句」係
メール:ajaps@photo-asahi.com
横丁の看板娘として長い付き合いがあるのでしょう、猫に寄せる心情が詠われています。猫は年を取り自分も年を重ねています。季語「春惜しむ」には、単に過行く春の季節への感慨に加え、命や交わりを惜しむ意味合いがあり、それを思わせるコラボとして見事です。90歳という作者ですが、平明ながら含蓄のある作品として脱帽、喝采です。
日本の歴史には時代を問わず、各地で数々の戦が行われています。作者の住まいからすると、源頼朝が活躍した鎌倉時代の戦に思いを馳せたのでしょうか。この草花が戦った武士たちにも見えてきます。芭蕉句〈夏草や兵(つはもの)どもがゆめの跡〉を踏まえた作として、趣のある作品です。
少子化が進むなか、全国各地での小中学校の閉校、廃校がなされています。この学校には作者が通学し、体育の時間には水泳で身体を鍛えたのでしょう。プールを直接写真にせず、道路のイラストを使ったところが効いています。過ぎ去った遠い夏への思い入れが伝わってきます。