全日本写真連盟

第21回 いつでもどこでもフォト俳句

               選評 中谷吉隆(写真家)
【総評】
味わい深い作、ウイットのある作などが揃いました。気になったのは、俳句に二重季語が多かったこと。その中に一年中身近にあり季節感を感じなく、季語なのに知らずに使ってしまうケースがあります。「バナナ」などもその一つで、エッこれが季語なのと驚きます。俳句を始めた当初、句会でさんざん指摘され、歳時記で確認する習慣がつきました。

【全日写連会員の皆様よりフォト俳句の作品を募集します】
第22回いつでもどこでもフォト俳句(2024年9-10月合併号)の『締め切りは7月10日』です。
第23回いつでもどこでもフォト俳句(2024年11-12月合併号)の『締め切りは9月10日』です。

【投稿の方法】
応募は郵送(2Lサイズ)かメール添付(JPEG)で、写真の裏に
①自作の俳句②住所、氏名を明記してください。
一人5句まで。作品は返却しません。
〒104-8011 朝日新聞東京本社全日本写真連盟「フォト俳句」係
メール:ajaps@photo-asahi.com

 優秀賞「往年の看板娘春惜しむ」 松林義明(兵庫県)

横丁の看板娘として長い付き合いがあるのでしょう、猫に寄せる心情が詠われています。猫は年を取り自分も年を重ねています。季語「春惜しむ」には、単に過行く春の季節への感慨に加え、命や交わりを惜しむ意味合いがあり、それを思わせるコラボとして見事です。90歳という作者ですが、平明ながら含蓄のある作品として脱帽、喝采です。

 入選「もののふのささやきといき薄暑光」 小杉美千代(神奈川県)

日本の歴史には時代を問わず、各地で数々の戦が行われています。作者の住まいからすると、源頼朝が活躍した鎌倉時代の戦に思いを馳せたのでしょうか。この草花が戦った武士たちにも見えてきます。芭蕉句〈夏草や兵(つはもの)どもがゆめの跡〉を踏まえた作として、趣のある作品です。

 入選「閉校のカルキの匂ひ遠き夏」 小川吾一(長崎県)

少子化が進むなか、全国各地での小中学校の閉校、廃校がなされています。この学校には作者が通学し、体育の時間には水泳で身体を鍛えたのでしょう。プールを直接写真にせず、道路のイラストを使ったところが効いています。過ぎ去った遠い夏への思い入れが伝わってきます。

 佳作

「校外へ春風誘う生活科」 嶋川龍雄(青森県)

「声かけて声かけられて今朝の夏」 打越 榮(茨城県)

「夏の日やあふるる色香なおのこと」 大林ひろ子(千葉県)

「橋の名の多き銀座よ燕来る」 福岡育代(東京都)

「勤勉は麗し憲法記念の日」 西村美枝(長野県)

「冬ざるる生命線の尽くるまで」 中川富夫(京都府)

 選者作例「熱戦に骨あらはなる渋団扇」 中谷吉隆(俳号 龍子)

プロ野球、セ・リーグの広島カープ新井貴浩とヤクルトスワローズ高津臣吾両監督は、わが母校県立広島工業高校卒業の後輩。その昔、弱小のカープの応援に市民球場に通った。瀬戸の夕凪は厳しく、顔に風を送るためと足元の蚊を追うために観戦には団扇が必需品。試合に熱が入ると渋団扇でもボロボロ。両監督の対決を渋団扇で観戦したいこの頃である。

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25/5/19 第42回「日本の自然」写真コンテストについてのお知らせ
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19/4/26 初心者向け写真撮影ガイドブック 発売中
総本部
19/2/15 「全日写連」ルールについて
総本部
25/5/7 「全日本写真展」についてのお知らせ
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2022/08/01
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