優秀賞「春近しおしゃれなどして町へでも」 打越榮(茨城県)
口語調の俳句がいいですネ。春らしくなり、気持ちもなんとなくウキウキとしてきます。鳥の写真の組み合わせも良く、春の季語「鳥の恋」をイメージします。しかし、この鳥は作者の化身で擬人化だと思うと、作品に広がりと奥行きがでてきます。春への心境を直接的ではなくひとひねりしていて、面白いコラボとなり、さすがベテランと感心しました。
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入選「いつまでもそぞろ歩きの春の宵」 嶋川龍雄(青森県)
無機質的な都会の中に、気持ちを和ませる時空間があります。夕やけ時のビル群と屋形船が作り出すコントラストのあるこの場所もその一ヶ所。都会のあわただしさの現実から解放され、春の夕暮れに、ぶらぶらとこの光景を眺めていたのでしょう。癒しと雰囲気のある味わい深い作です。
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入選「墨堤の囃子太鼓や風光る」 福岡育代(東京都)
墨堤の墨は隅田川のこと。その東側の向島、西側の浅草には花柳界があり、永井荷風が親しんだところです。桜の時期には芸者衆がもてなす茶屋も登場し、お茶とお菓子で豊かな時間が過ごせます。南京玉すだれの芸を印象的に撮っていて、華やかさの漂う周辺の賑わいが伝わってきます。
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佳作「山峡の記念マラソン五月かな」 千葉惠(宮城県)
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佳作「安曇野は湧水豊か日脚伸ぶ」 西村美枝(長野県)
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佳作「飛梅や君の香りを胸に抱き」 蒲田晧兵(京都府)
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佳作「米寿超へ願ふ安穏日記買ふ」 中川富夫(京都府)
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佳作「新しき同好の友賀状来る」 松林義明(兵庫県)
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佳作「夜鳴きそばネオン蠢く黄泉の海」 良正勝(鹿児島県)
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選者作例「世話役の祭準備やサロンパス」 中谷吉隆(俳号 龍子)
今年の三月は気温の変化が激しく、桜の開花予想が発表の度に伸びた。昨年は、中旬には開花し仰天したものだった。花見が終わると、東京下町は夏祭りの準備に拍車がかかる。五月初旬から、下谷神社、神田明神、浅草三社祭りと、まさにてんやわんやの大騒ぎ。コロナ禍がぶり返しているが、各町内の世話役は老体にムチ打ち大変だろう。
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