選評 中谷吉隆(写真家)
途方もない年明けとなりました。<元日や地震(ない)海嘯(かいしょう)の国に住み〉<能登地震(ない)に合掌重ぬ三日かな>と、今回の能登半島地震の句をいくつか詠みました。胸が痛みます。そういった状況の中で辰年最初の審査でした。思い入れと力のこもった作品が多く寄せられていました。しかし、俳句に無季句が多くあったのは、どうしたことかと首をかしげました。
【全日写連会員の皆様よりフォト俳句の作品を募集します】
2024年7・8月合併号の『締め切りは5月10日』です。
フォトアサヒ配送の都合により締め切りを早めさせていただきましたのでご注意ください。
【投稿の方法】
応募は郵送(2Lサイズ)かメール添付(JPEG)で、写真の裏に
①自作の俳句②住所、氏名を明記してください。
一人5句まで。作品は返却しません。
〒104-8011 朝日新聞東京本社全日本写真連盟「フォト俳句」係
メール:ajaps@photo-asahi.com
屋台風のおでん屋での憂さ晴らしとはいいですネ。年配の主人であれば、聞き上手でもあり、物知りも多く、知らず知らずの間に、自分のつらかったことなどどこかに吹っ飛び、いい酒になるでしょう。作者もそんな経験の持ち主ではないかと思いました。大晦日の思い出を記した一作ではないでしょうか。味わいの深さがあります。
縄にしっかりと結ばれた御神籤。大吉であれば満願の笑顔でしょうが、小吉で笑顔とは、凶でなくて良かった、いや気にしている運勢か縁起に納得できた?謎解きのような話ですが、そう今日は立春、天が祝う立春大吉を思っての笑顔だったのかも知れません。あれこれと想像させる作です。
七福神が勢ぞろいしての船出、まさに宝船です。京都八坂神社の「祇園えべっさん」で、商売繫盛を祈願しての行事。もしかすると初凪に能登地震で海底が隆起して壊滅した漁業関係や朝市通りなどをはじめ被災地の一日も早い復興祈願のための出港のようにも思える、タイムリーな作でした。