審査 関東本部委員 勝又ひろし
大仙市の伊豆山神社梵天奉納祭は、梵天が川を渡る珍しい行事です。この作品は、河面と土手の水平線を、斜めに登っていく男たちの整然とした行列がつなぐ、幾何学的な面白さが特徴です。静かな河面、深雪が北国の小正月を効果的に演出しています。
教科書的にいえば、この作品の画面構成はうまくいっていません。背景の道路、電柱、ガードレールは邪魔ですし、流しの鯉は乱雑にはためき、岩や雑木が目立ち、お父さんと母子の距離が微妙に離れています。でも、そこがいいんですね。この自然さ、絶景と言われる写真が持つ嘘っぽさがみじんもない、すがすがしい作品だと思います。
「光景」 加藤悦子(秋田支部)
このマネキンはガスメーターの点検に来たのでしょうか。それとも二つの脚立を使って家の普請をしようとしているのでしょうか。いえ、そんなはずはありません。ミステリーゾーンに誘い込む写真です。
「階段の記憶」 杉原龍子(秋田支部)
画面構成能力と光を読む力があれば、それなりの写真が撮れますが、観察力、発見力、感性がないと作品として昇華しません。無限に続くような恐ろしげなダムの階段をドラマチックに捉えています。
「樹海を行く」 大友一夫(大曲支部)
樹氷の写真はたいてい樹氷のみで構成されていることが多いのですが、ここでは人間が主役なのが新鮮です。樹氷って意外と小さいんだな、と思わせます。何もかも明るくクリアーで気持ちのいい写真です。
「嫁ぐ日」 小松幸男(秋田中央支部)
雪や湯気をバックに花嫁道中最大の難関、峠越えをドラマチックに描写しています。馬や人が完全にシルエットになり、馬車の中の夫婦の影もおぼろげで、この世のものとは思えない雰囲気を醸し出しています。