夕暮れの田植えを終えたばかりの田んぼの水面に写る列車をとらえた作品です。米どころの新潟では、初夏の頃、清々しく広がる空を背景に、水をたたえた田園を列車が通り過ぎる風景が、とても絵になります。作者は、撮影時から水面に映った列車を上下逆転して表現することをイメージ。ファインダー内では正像の部分を外し撮影。時間帯も茜色の夕空になって列車がシルエットになる時間を選び、シンプルな色構成となり印象的な作品に仕上がりました。流し撮りで稲の列がぶれて帯となり、列車の背後から光芒が広がっているようにも感じます。
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山間に棚田が点在する長岡市の山古志地区で撮影された里山の風景です。たまたまいい場面に出会いパシャリと撮った写真ではなく、農家のご夫婦、軽トラック、農機具を、緻密に計算して配置したポートレート写真でもあります。木々の合間から山々を望む場所を計算してロケハンし、ご夫婦も影になることない立ち位置で、スタジオで撮ったような写真とも感じます。画像処理も、暗部を落としすぎずシルエットになり、映るべきところもしっかり出された、素晴らしい作品浮かび上がっています。
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薬を手にするお父様の手を、撮影した作品です。日々薬が欠かせなくなった今に憂いながらも、ふと薬の小包を手にした自身の手の皺に、我が人生を振り返る、お父様の想いが滲み出てた作品です。光が手のひらに逆光で入り、皺一本一本が浮き出て、重ねられた時間を感じさせます。画像処理も、周辺を自然に落とし、薬の包み紙は白く飛ばし、手の皺が強調されお父様の「表情」も感じさせる、モノクロならではの作品です。
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