神奈川県本部委員長 山崎良信
【総評】
今年は鉄道に加え、乗り物が撮影対象に含まれました。そのためか応募者、作品数ともに増え、多数の作品の中から選ばせて頂きました。
鉄道を含め乗り物は、本来は生活のための移動手段ですが、利用者の減少を補うため観光利用が図られ、応募作品からも様々な乗り物、催しなどが拝見出来ました。
このコンテストは4回目の開催であり、過去の入賞作と同じようなモチーフの作品が多く見られ、撮影者のオリジナリティが感じられる作品が少なかったのが残念でしたが、撮影対象が拡大され、飛行機、船、馬、自転車、遊園地の乗り物、オブジェの乗り物まで様々な作品が寄せられました。
審査にあたっては「乗り物」を広く捉え、撮影者の感動や意図が伝わってくる作品、冠にある「千葉」が感じられる写真を中心に選ばせて頂きました。
雅やかな雛衣装をまとったお内裏様とお雛様を先頭に、水郷の街を「ひな船」が行く。2番目の船の雅楽の美しい音色が小江戸佐原に響き渡っています。小野川のゆるやかなカーブと船の列、多くの観客の列が奥行き感も醸し出し、次々と来るであろうひな船を連想させます。撮影ポジションとフレームワークが素晴らしく見事にこの場の情景が捉えられています。
画の中に富士山が入るとどうしても富士山が主題になりがちですが、臨海工業地帯の工場群が、千葉の一味違う顔を見せています。夕映えに染まる富士山と養老川の川面の照り返し、電車を一直線上に配置しており、この美しい風景を遮るように横たわる工場群の存在感が強調されています。この場を捉えた作者の感動が伝わってきます。
九十九里浜の観光乗馬でしょうか。広々としたとした砂浜を女性が乗った馬が駆けていきます。朝焼けを背景に馬と人物がシルエットで動きを感じさせる姿で捉えられ、馬の尾の輝きが印象的です。乗馬に慣れた方なのでしょう、姿勢よく駆ける姿に朝の爽やかさも感じます。太陽をすべて入れてないのも良い効果をもたらしており、一瞬の切り取りのうまさが光っています。