この写真の面白いところは、福銭を撒く人の顔も、もらう人の顔もほとんど写っていないところです。撒く手、宙を舞う福銭、取ろうとする手のみで構成された画面からは、のどかなお正月の風物詩というよりも、むき出しの人間の欲望とか、飢餓感を純粋化させたような不安感を覚えます。モノクロにしたらもっと凄みが出るでしょう。
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見事な構成です。大胆に紅白幕で画面を覆い、右の上下のコーナーに若者とマンションを覗かせる。「ちょっと殺風景な街角だけど、とりあえず紅白幕で隠して正月っぽくするか」みたいな、都市でのお正月の迎え方をシニカルにとらえた作品です。
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陽が下がりかけてきたのであわてて穴蔵に帰る、巫女さんに化けたキツネ、といった妄想を抱く写真です。どことなく警戒気味の表情で、足早に見えるステップで歩く巫女さんを、木々、絵馬、黒い地面が囲んでいて、ちょっと背筋がヒヤッとする「あの世感」を漂わせています。
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今時珍しいデパート屋上の小さな遊園地は、遊んでいる人がどんな楽しそうにしていても、寂しくて空虚な印象を抱いてしまいます。作者の意図するものではないかもしれませんが、この作品も、抜けるような青空や、空調のダクト、テントウムシのカートがその印象をいっそう濃くしてします。
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