全日本写真連盟支部対抗戦の審査会が10月2日、朝日新聞東京本社で開かれ、風景・ネーチャー部門、自由部門からそれぞれ28位タイ、27位タイまでの支部が選ばれました。
審査は、同一支部、地域が固まらないようにランダムに作品を並べ、審査員が投票を繰り返して絞っていきました。風景・ネーチャー部門は3次、自由部門は4次まで、総計11回の投票を行い、個々の作品に通過レベル、得票の有無によって1~10ポイントの点数を付けました。そして支部で上位5作品のポイント数を合計して順位を決定しました。同点の場合は6作品目の点数、それでも同点なら7点目の点数を参考にしました(この処理は10位までの支部で行いました)。
上位10位までの支部の、得点上位5作品を展示する写真展が2019年1月26日~2月7日まで、朝日新聞東京本社2階コンコースで開かれます。また10位までの支部を招く表彰式は、2月5日(火)午後3時より朝日新聞東京本社内で開催されます。
★参加支部数 226 応募点数 3073点(風景・ネーチャー 1304 自由 1769)
審査員 大西みつぐ(写真家・関東本部委員)、鈴木一雄(写真家・関東本部委員)、大野明・朝日新聞東京本社映像報道部長、山本正樹・同名古屋本社フォトディレクター、小林修・朝日新聞出版写真部長
立会人 谷田川勝喜理事、佐藤親正・関東本部委員長、山中健次・関西本部委員長、伊藤滋・中部本部委員長
「吹雪の漁村」 小坂幸平(十日町)
「吹雪の漁村」小坂幸平 横殴りの猛吹雪が、漁村を襲っている。厳しい日本海の冬に閉ざされながら、耐え忍び、必死に生きる漁民の生活感がひしひしと画面から伝わってくる。そのリアリティのチカラがすごい。ストロボを使ったのも効果的だ。後幕シンクロすることと、光量をもう少し弱くすることに工夫を加えれば、さらに良くなる。(鈴木一雄 以下同)
「残雪のぶな林」 中條誠(十日町)
厚い雪に覆われた残雪のブナ林に、ようやく遅い春が訪れた。その季節感が、臨場感たっぷりに表現されている。何といっても、画面手前に残雪の大きな亀裂を大胆に配置したことが成功している。そのことで、豪雪の様子がしっかり宿った。あとは、亀裂の中の暗い部分の表情をもう少し引き出したいところだ。
「祈り」 西野米子(十日町)
作品を見た瞬間に、衝撃が走った。おばあさんだろうか。寒い冬の日に墓参りする姿に無条件に心が打たれる。強風が吹きすさぶ環境は傾いている木々の姿でわかり、大地に置かれている墓の様子から、昔の厳しい生活がしのばれる。作者が見ず知らずの墓参りに訪れる人を待っていたか否かはわからないが、圧倒的な物語性がある。
「夕景の刻(とき)」 内藤利夫(エンゼル)
鹿に飛びかかろうとしているのはトビでしょうか、それともタカ? 大きく広げた翼と鋭利な足先、猛禽類特有の獰猛さが伝わってきます。そして招かれざる来訪者に身体をこわばらせる鹿たち。これらの要素を夕暮れどきの逆光を利用して影絵のように単純化したことで、動物たちの一瞬の緊張をあますことなく伝える写真に仕上がっています。(小林修 以下同)
「母子の砂遊び」 大槻冨士枝(エンゼル)
動物園で砂遊びに興じる親子の象。子供よりも親の方がテンション高く遊んでいるのでしょうか、絡めた前脚や鼻から力強く吹き散らした砂の量からその興奮した様子が伝わってきます。反逆光の光線と、暗い背景を選んだことで、吹き散らされた砂と象の体毛の質感がとてもクリアに表現されています。
「仲よし」 森田隆(エンゼル)
目を閉じて顔を寄せ合う親子の猿。タイトルは「仲良し」となっていますが、写真からは親猿の子猿へいだく強い愛情や、その愛情に包まれて大きな安心感のなかにいる子猿の心情のようなものが伝わってきます。仲がいいというだけではない、深い慈しみに包まれた写真です。有名な撮影地ですが、シンプルで訴求力のある写真に仕上がっています。