千葉県本部と朝日新聞千葉総局が主催で行われた今年度の「第44回千葉県民写真展」5部門の応募作品を厳正な審査の結果、素晴しい143点の入賞作品が決まりましたので発表します。募集部門は「自由」「課題」「ネーチャー」「花」「中学高校生」の5部門と前年同様の「モノクロ賞」を加えて行われ、千葉県内外の393名の方から、2,348点の応募をいただきました。応募作品の審査と講評を写真家の柿本完二氏と赤城耕一氏にお願いして、5部門の最優秀賞作品の中で最も優れた作品の「グランプリ賞」には「花の部門」で最優秀賞の佐藤美那子様の作品「凜として」が選ばれました。
千葉県本部 委員長 村上 宰
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【総評】
全ての部門を合わせて総数2000点をゆうに超えるたくさんの応募点数に驚きましたが、優れた作品がとても多く、審査にはたいへん苦労しました。上位入賞作品は、被写体そのものの魅力だけ成り立たせたものではなく、作者の技術力、解釈、観察力に強い個性があることが共通点です。また若い中高生の作品は発想が豊かで、審査する私たちも参考にしたいほどでした。今後もずっと写真を続けてください。入賞作品はいずれも甲乙がつけがたいほど伯仲したレベルであったことを報告しておきます。(赤城耕一)
ドアのノブの中に入り込んだアマガエルです。思わず「こんにちは」と声をかけたくなるような愉快な写真ですね。擬人化されたイメージですが、たしかな技術をもって撮影されているため、まるでミニチュアのセットの中にカエルがいるような不思議な雰囲気が強調されています。まずは身のまわりをよく観察してみようという好例でもあります。(赤城耕一)
思わず写真に写っている子供の数を数えてしまいました。ストロボ光を使わず、その場にある光だけで撮影したアベイラブルフォトのためリアリティを感じさせます。家族の記念だけではなく現代の大家族の一面を我々に知らしめるドキュメンタリー作品としてみることができます。(赤城耕一)
霊玉とは何か。ということを解明する必要はなく、「これは一体なんだ?」ということを素直に感じ取る不思議な作品ですね。写っている被写体を具体的に説明することができ、かつ魅力的で美しいことだけが写真の魅力ではないことを示した好例といえるでしょう。(赤城耕一)
日中シンクロの効果を生かし、被写体の男の子の表情を巧みに描写しつつ、動感を再現することに成功しました。写真独自の表現といってよいでしょう。作者の技術力だけではこうした作品ができるわけではなく、偶発的な要因も味方につけています。画面からあふれてしまうようなフレーミングも好感が持てます。(赤城耕一)
タイトルからすると、気圧計と女性の多重露光なのでしょうか。あるいは写り込みによるダブルイメージなのかもしれませんが、現実には感じることのない世界です。まさに写真表現独自の宇宙を感じさせます。(赤城耕一)