第22回全日本動物写真コンテストには346人、1169点の応募がありました。
審査の結果、野生部門 最優秀賞に渕上忠臣さん(福岡県)の「舞い上がる」、一般部門 最優秀賞に鈴木一彦さん(大阪府)の「何か?」が選ばれました。
■審査委員長 今森 光彦(写真家)
■審査委員 山中 健次 (全日本写真連盟 総本部理事)
澤野 二朗 (全日本写真連盟 総本部理事)
谷口 晃隆 (全日本写真連盟 総本部理事)
橋本 弦 (全日本写真連盟 関西本部長)
■主催 全日本写真連盟関西本部 朝日新聞社
■協賛 株式会社エツミ
【総評】
今回も数多くの力作が寄せられ、たいへん楽しい審査をさせていただきました。
野生動物の部門では、生物の生態を熟知していないと撮れない貴重な写真や、フィールドに長く通いつめてこそものにできる秀作がみられました。レベルの高い作品が多かったように思います。
一般部門は、フィールドで出会った家畜や動物園のもの、愛おしいペットなどバラエティーに富んでいました。やっぱり、一番好きな命を撮ることが大切なのだな、と審査員一同納得した次第です。
応募いただきました方々のさらなる作品を楽しみにしています。 (審査委員長 今森光彦)
◆入賞作品展示◆
日時 : 11月8日(金)~ 14日(木)最終日は15時まで
会場 : 大阪市北区 中之島フェスティバルタワー13F
※期間中常時展示ですが、照明施設がないので日没までのご来場をお勧めいたします
講評 審査委員長 今森光彦(写真家)
タイトルに「舞い上がる」とあるので、水鳥が水面から舞い上がった瞬間なのでしょうか。それとも水面スレスレに飛翔しているのでしょうか。群れの姿が魚のような形をしているのが面白いです。撮影者は、刻々と変容する被写体を冷静なカメラアイでとらえています。澄み切った青空と美しい山々、群青色の海面には、鳥たちの姿が映り込んでいます。鳥の種名がわかれば、生態写真としてもたいへん貴重です。
講評 審査委員長 今森光彦(写真家)
後ろに睨みをきかせたフレンチブルドック。なかなか味のある表情です。最近は、路上でウンチをすることがないようにおしめをつけるのがマナーなのですね。手押し車を引く女性の足元もしっかりと写り込んでいて、的確なフレーミングがなされています。画面背景にぼやけて写る道の看板や車のライトなどが奥行きを作っています。撮影者のベテランぶりが発揮できた1枚です。
講評 関西本部長 橋本 弦
暗く落ちた背景に重なり合った3頭のシンメトリーな配置が美しく、画面にリズムと緊張感を与えています。青みのある寒色を生かしたことで夜の静寂を想起させ、大きく開かれた口から澄んだ「子守唄」の音色が聞こえてくるようです。
講評 関西本部長 橋本 弦
トラフズクでしょうか、止まったLED信号機の発する人工的でメタリックな光と、その野生の姿が対照的で目を引きます。レンズを見据える目線や矢印式信号も配置されたことで、どこかに導かれるような物語性も感じさせます。
講評 審査委員長 今森光彦(写真家)
アリマキが排泄する蜜を求めてやってくるアリたちの共生関係はよく知られていますが、この写真は、もっと面白いストーリーを秘めています。画面の上にアリマキを食べてしまう恐ろしいテントウムシの幼虫が身構えているのです。まさに、写真のイソップ物語。クローズアップは、ピント合わせが勝負ですが、撮影者は、被写体の平面性を保って、みごとにシャープにとらえています。生態写真としても秀作です。
講評 審査委員長 今森光彦(写真家)
田んぼの畦道をカモの子どもたちが仲良く並んで歩いています。田植えが終わった後なので、今流行りのアイガモ農法を営んでいる農家なのでしょうか。今でもインドネシアのバリ島へ行くと、毎日のようにこの光景に出会いますが、ほのぼのとして心が安らぎます。アヒルの列が手前の田んぼの水面に写り込んでいるのが魅力です。咄嗟に目にした光景を見事に刈り取った撮影者の腕前に拍手です。