「いつまでも守り続けたい日本の自然」をテーマに、36回を迎えた「日本の自然」写真コンテストの審査結果を発表します。
審査員(写真家)
中村征夫、福田健太郎、前川貴行、吉野信、米美知子
沖浩(森林文化協会常務理事)、大野明(朝日新聞東京本社映像報道部長)、浅野哲司(同大阪本社映像報道部長)、伏見美雪(アサヒカメラ編集長)
主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会
協賛:ソニーマーケティング株式会社
【プリント部門総評】
まったくの初心者からハイアマチュアに至るまでが日本各地の自然を丁寧に撮影してくれており、素晴らしく楽しい審査会になった。最優秀賞に選ばれたのは風景の作品だったが、全体の印象では、やはり生き物系の作品が力強かった。
粗っぽい仕上げのプリントが目立った。後処理でなんとかなるという意識は捨てて、現場でしっかり判断して撮影してほしい。
応募者の数には地域ごとのばらつきがあった。撮影のために時間とお金をかけて遠出もするが、その土地土地に暮らす人が撮って応募しないのはもったいない。地元でなければ見つけられない被写体があるはずだ。
一瞬を見つめるところに写真の醍醐味がある。ただ、瞬間だけではなく、自分が向き合おうとしている動物や風景が今、どんな成り立ちでここに存在しているのかをもう少し深く考え、自分ならばどういう風に写真で伝えるか、というところまで踏み込んで撮影してほしい。
ソニーマーケティング「日本の自然」写真コンテストページ
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非常に雄大さを感じる。ブロッケン現象というめったに見られない光の輪が現れ、手前右の岩も太陽光に輝いている。その対比が美しい。なかなか出合えない瞬間をうまくとらえた。登らなければ見られない、そこでシャッターを切らなければ撮れない、そんな作品だ。
キンメモドキという小魚の大群。潮流が速くなってきたので、上の方の小魚はプランクトンを食べるために岩場から離れたところに移っている。このまん丸の不思議な情景を、潮の流れに逆らいながらよく撮ったものだと感心した。
チングルマの穂が見える。高山帯で撮影したエゾシマリス。厳しい自然の中で生きるかわいらしさと同時に、たくましさを感じさせる。外にいる2匹のシマリスが中の1匹を誘い出しているようだ。構図もよくバランスが取れている。周りの生息環境をしっかり入れたのがよかった。
海岸沿いの岩場にひっそりと咲く小さな花。特徴のある岩肌に水がしたたり落ちている。その対比がとてもいい。ラッキーで撮れた写真ではなく、どんなフレーミングにしたらよりその場所の特徴が伝わるかを考えながら丁寧に撮った。
人と自然が共存する里山の風景であるが、霧の中から見えてくる田んぼの水の光や森の影などの景色がとても幻想的だ。ドローンで俯瞰することによって、里山の世界が広がっていくように見え、里山への期待が伝わってくる。