第29回「日本の自然」写真コンテスト(朝日新聞社・全日本写真連盟・森林文化協会主催)の入賞・入選作品97点が決まりました。
いつまでも守り続けたい日本の自然をテーマに3854点の応募がありました。
【講評】
北から順に並べられた作品を審査していると各県の風土、日本の自然の豊かさが感じられ、審査も楽しい。少しでも見たこともないような発想に富んだ作品を上位に選んだ。
レベルは高いものの、類型化した作品が目立った。同じモチーフは明らかに損をする。明るすぎたり、コントラストが高すぎる作品もあった。自然の色をそのまま出して欲しい。過剰な色彩の操作は合成に匹敵する。
次回は30回目。始まった頃とは違い、「環境の時代」になった。自然との共存と言われるようになった。そういうことを感じながら、また、動物やくらしなど自然の多様性を意識して写真にして欲しい。カメラの進歩も著しく、かつては撮れなかった写真も撮れるようになった。今までの概念を捨て、写真家が狙わないような斬新な作品の応募を期待したい。
*最優秀賞「自然に万歳」を受賞した安部武夫さんの話*
2003年にデジタル一眼レフカメラを購入、本格的に写真を撮るようになりました。自宅の周りは田畑、被写体はトンボやチョウなどの昆虫でした。以来、トンボを追いかけています。10?のレンズで1、2?まで接近、生息環境までいれて撮影します。なかなか近寄れませんが、撮れた時の感動は忘れられません。
この日は、大分県玖珠町にミヤマカワトンボを撮りに行く途中、ヨウシュヤマゴボウを見つけました。秋になると茎や実が赤紫になり、きれいです。初夏でしたが、色がついていました。農村風景を入れて写真にできないかと思い、車を降りました。
近づいてみると、カミキリムシが止まっていました。飛び立つ瞬間を撮ろうと思い、感度を12800、背景もわかるように広角で、絞りをF14に設定して近づきました。5コマ連写、そのうちの一コマがバンザイしているように写っていました。
応募し続けて以来、連続で入賞していますが、今回は最優秀賞でした。今後も応募し続け、入賞歴を重ねたいと思っています。
子どもの頃、野山をかけて見かけた光景を思い出すような作品だ。コンテストの趣旨にも合っている。背景の色とかボケ具合から温かさや季節が感じられる。カミキリムシの格好が、視覚的にも新鮮で、写真の強さを支えている。