全日本写真連盟

夏の北海道ツアーが催行されました

関東本部主催の「夏の知床 野生動物と絶景撮影ツアー」が7月18日~21日に行われた。講師は札幌在住で、知床を知り尽くした写真家で関東本部委員の山本純一先生。北は宮城、南は鹿児島まで18人が参加した。

羽田空港からエアドゥ便で女満別空港入り。まずはヒグマを船上から狙うためウトロの港を目指した。チャーター船に乗る前に、山本先生と懇意のゴジラ岩観光さんの計らいでまずは観光船に同乗することになったが、乗客がそれほど多くないこともあって、半分貸切状態。世界遺産知床の奇岩、断崖を眺めながらヒグマの出てくる海岸を目指した。

山本先生によると、今年はヒグマが出現が少ない、冬眠から覚める時期の後に大雪となったため、餓死したのではとのこと。約1時間後、船長の「前方にヒグマがいますよ」とのアナウンスが流れた。徐々に近づいてゆくとゆったりと海岸を歩くヒグマの姿が見えてきた。約15ほどで草むらに入って行ってしまった。その後、漁のための作業小の番屋付近でもう一頭を発見。ゆうゆうと浪打際を歩き、時には海に入って「くまかき」を披露するなどしていた。

いったん帰港後、すぐに今度はチャーター船に乗り換え再び出発。しばらく行ったところでカマイルカの群れに遭遇。船長がイルカを誘うように操船し、夕日に輝くイルカのジャンプの撮影に挑んだが、どこに飛び出すかはわからず、まるでモグラたたきゲームのようで参加者らは苦戦の模様。そうこうするうちにオホーツクに沈む夕日が真っ赤に染まり始めた。水平線に沈む間際には、四角く変形し、夏場としては珍しい光景で初日の撮影を締めくくった。

2日目は、午前5時、エゾシカ、特に小鹿のバンビを狙いに出発。冬の間に増えすぎたシカを駆除した影響か、事前に下見をしたときも、警戒心が強くなかなか出てこないと、山本先生。プニュ岬を過ぎたあたりでいきなり親子連れを発見、車内から撮影するが、やはり警戒心が強くすぐに森の中に逃げ込んでしまった。岩尾別方面まで探したが、例年なら多くのシカがいるという場所にも姿は見えなかった。引き返しながら、さらに探すと、参加者から「いたいた」との声が。林道の奥に子連れのシカがいた。まずはバスから撮影した後、バスを降り徐々に近づいていった。今度の親子は時折警戒はするものの逃げず、愛情たっぷりのキスをする姿などをたっぷり撮影出来た。「いやぁ、出来すぎだよ、みんな持ってるね」と山本先生も興奮気味。

宿に戻って朝食を摂った後、所々雪の残る知床峠を越え、羅臼港に到着した。心配された視界も良好で、波もほとんどない。今度の狙いはマッコウクジラ。まずは潮を吹いているのを発見するのが重要、とのことで全員が海面に目を凝らす。

出航してから40分ほどしたところで船長が最初の潮吹きを発見するが近くに到着するまでに潜ってしまった。一度潜ってしまうと40分以上は出てこないという。さらに約1時間ほど経った頃、再び発見、全速力で追う、今度は十分間に合った。距離を保ちながら追う。まるで潜水艦のような鯨を真後ろから間近に見る。時折潮を吹きながらゆうゆうと泳ぐ。やがて船長のいくぞの声とともに大きな尾びれを見せて、潜っていった。初めて見るマッコウクジラのダイブに参加から歓声があがった。この日は2回のダイブを撮影することが出来、満足のうちに港へ戻った。

昼食後、再び峠を越え、ウトロに戻り、2回目のヒグマの撮影に挑んだ。この日も観光船とチャーター船の2回乗船、数頭のヒグマを撮影。1日目より近い距離で撮影できたものもいた。

3日目も午前5時に出発。この日は深い霧が立ち込めていたものの、またもや親子シカを発見。前日とは違った幻想的な雰囲気の中で撮影することが出来た。ホテルに戻る途中にはキタキツネも顔をみせた。朝食後三たび、知床峠を越え、野付半島に向かった。
途中羅臼側は海霧に包まれており、クジラの撮影が前日でよかった、と一同胸をなでおろした。

野付半島の先端の走古丹に着くと、雪解けが遅かった影響で、例年は盛りを過ぎているはずの、ハマナスやショウブが満開だった。ここでも運よく数頭のシカが花園の中で草を食む姿を撮影。草木が高く上半身しか見えないが,
小鹿がいるかもしれないと目を凝らす。辛抱強く待っているとやがて母鹿の影からかわいらしい姿が一瞬、出現した。

次の狙いはタンチョウ。いつもはこの辺にいるはず、という場所を探すが姿が見えず、あきらめて、約1時間ほどの風連湖に向かおうとしたところ、、山本先生が「ちょっとストップ」とバスを止め双眼鏡を手に降りていった。しばらくして山本先生は両手でOKサインで戻ってきた。一同、潮の引いた海岸を歩いて撮影に向かった。ちょと距離はあったが何とかタンチョウを撮影することが出来た。この日は3日目にして初めて明るいうちにホテルに入ってちょとゆっくりすることが出来た。

最終日は午前9時過ぎにホテルを出発、裏摩周展望台、神秘的な神の子池で風景主体の撮影をした後、サクラマスの遡上を狙うために清里町へ向かった。途中、参加者から「ツルがいる」の声あがり、急遽バスを止めた。畑の中に前日よりも近い距離でタンチョウのつがいが、農作業の人たちをまったく気にする風もなくエさを啄ばんでおり、。
羽を広げてじゃれあうなど魅力的なシーンが繰り広げられた。次のスケジュールが気になり始めた頃には飛び去るという絶妙のタイミングだった。思わぬハプニングに大満足し、清里へ向かった。

いよいよ最後の撮影地、「さくらの滝」に到着すると。体長約2、30センチほどのサクラマスが約2メートルほどの滝を越えようと次々に川面から飛び出していた。参加者一同、滝の音に負けじと盛んにシャッター音を響かせていた。約2時間ほど撮影し、メモリーカードが底をつき始めたところで撮影を切り上げ、女満別空港へ向かった。

今回のツアーでは天気に恵まれ、また野生動物相手としては、奇跡的とも思える幸運にも恵まれ、予定していた撮影をほとんどクリアすることが出来、参加者の皆さんからは満足そうな笑みがあふれていました。来年の冬には流氷、オオワシ、タンチョウを中心とした恒例の「厳冬の北海道撮影ツアー」を催行予定です。ぜひ参加をお待ちしております。

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2022/08/01
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