全日本写真連盟

三脚を使って「楽しみ表現」自分流⑤ ストロボの活用 その1

私が写真を始めたころ、一番苦手なことは、朝早く起きることでした。夜明けの撮影がしたいので、結局、前夜に出発をして撮影場所で仮眠をするスタイルが定番になりました。そんなことがきっかけで、美しい星空や月夜に魅了され、夜の撮影をしたいという願望が強くなり、だんだん夜型カメラマンになってしまいました。夜の撮影で最初に使った光はストロボです。ここでは、風景撮影でのストロボの使い方を述べたいと思います。     【関東本部委員・佐藤親正】

写真1

1.カメラとストロボの接続
速写性が求められる場合は、「写真1-ストロボの取り付け」のように通常な接続方法が無難でしょう。この接続の問題点は、ストロボ光がカメラの正面でしか発光しない事、口径が大きいレンズですとストロボ光がレンズで陰になってしまう事が考えられます。

写真2

この問題を解決してくれるのが、「写真2-ストロボの取り付け」方法です。つまり、カメラとストロボを離してセットする事で影が出ないようにする、ストロボの光も自由な方向に当てられるようになります。私は色々な撮影を想定して、接続コードはTTL調光コード(写真のコード)を使用しております。ここで使用している作例は全てTTL調光コードを使用した作品です。

2.背景の表現を考える
 人物などの記念撮影は対象の被写体が中心に露出を設定しますが、風景写真は、背景の露出を最初に考えるようにしております。夕暮れは夕暮れの雰囲気を大事に、月夜は月光の美しさを表現したい、その願望を叶えてくれるツールの一つがストロボだと思います。フィルムカメラでは、現像ができるまで心配で、失敗も随分致しました。デジタルカメラはモニターで確認できるので、自分の表現が満足できるまで調整ができます。
 作例を使い説明をしてまいりますが、共通している事は、①最初にストロボをカメラに接続しないか、ストロボの電源を切って(私はAの絞り優先オートが中心)テスト撮影をして背景の露出を決めます。②背景の露出が決まれば、その絞り、シャッタースピードを確認して、マニュアル露出に切り替えて確認した絞り、シャッタースピードをセットする。③マニュアル露出でセットが出来きれば、ここで、ストロボをセットします。マニュアル露出ですからストロボをセットしても背景の露出は、変わりません。しかし、露出をオートのままでストロボ撮影をしますと、ストロボの未装着時と装着時とで背景に違いが生じてしまいます。ストロボ未装着で露出を決めて、マニュアル露出でセットしてストロボ撮影をお勧めします。

3.ストロボの調整
 ストロボはマニュアル設定ができる機種を用意します。ストロボの強弱はガイドナンバー(GN)で表記されておりますが、私の使用している機種は、GN38とGN10です。マクロレンズの撮影では弱いGN10の方が楽ですが、一般的な使い方では強い方が良いと思います。ストロボをマニュアル設定にして、光量は1/1(一番強いフルパワー)から1/2・1/4・1/8・1/16・1/32・1/64が普通ですが、1/128まで設定できる機種もあります。この範囲内で、被写体とストロボの距離、カメラの絞りと感度で調整します。GN=距離(m)×絞り値ですからISO100の時、GN10のストロボを使用して1m離れた被写体の時は絞りF10にセットします。照射角度の調整もレンズと被写体とで調整しますが、デジタルカメラの場合は難しい計算をするよりもテスト撮影を何度か繰り返した方が早いでしょう。(私もこのテスト方法で撮影しています)

【写真3】

【写真3】この作品は、一昨年の10月8日に関東本部企画で実施された「仲秋の尾瀬撮影会」で宿泊した御池ロッジで撮影しました。夜明け前でしたが、ロッジの灯りがほのかに背景の森を照らしていました。この雰囲気の中に主題の蔦を表現したいと考えて撮影。
撮影プロセス①絞り優先オートにセットし、ストロボを未装着でテスト撮影、モニターを確認しながら、背景の露出を決める、その値がISO200でF8・シャッタースピード1/2秒でした。②F8・1/2秒の値を絞り優先オートから、マニュアル露出に変えてセットする③GN38のストロボを装着する④被写体の蔦が約10mの距離でしたので、ストロボの照射角度105ミリ、1/1のフルパワーにストロボをセットして撮影
〈データ〉ニコンD700 28-300 F3.5~5.6  ストロボ(ニコンSB-800)使用 マニアル露出  ISO200  F8  1/2秒 2011.10.8.

【写真4】

【写真4】2007年11月3日福島県の観音沼で撮影。午前2時ごろ月と雲の模様がとても美しくなりました。この美しい夜空に、何か写し込める被写体が無いか探しましたら、真っ赤な実を付けたナナカマドの木を見つけて撮影した作品です。
 撮影プロセス①ナナカマドと月の深度・ストロボの効果を考えて、絞りをF8にマニュアル露出でセット②F8のマニュアル露出のセットでISO100 1/2秒でテスト。その結果は、少し露出不足で雲が暗くなってしまいました。③シャッタースピード1/2秒から1秒に変えてテスト。雰囲気を感じる露出になりました。④GN38のストロボを装着する⑤ストロボの照射角度35ミリ、1/1のフルパワーにストロボをセットして撮影
〈データ〉ニコンD2X 18-200 F3.5~6.3  ストロボ(ニコンSB-800)使用 マニュアル露出  ISO100  F8  1秒 2007.11.3.


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