第21回全日本モノクロ写真展(全日本写真連盟関東本部、朝日新聞社主催)の入賞作品90点が決まった。
全国から568人、2726点の応募があった。今年も写真家の中藤毅彦さんが審査した。
■講評
全体的な印象として、スナップ、ポートレート、ドキュメントなどジャンルを問わず人間が写った力強い作品が多かった。
コロナ禍も3年目になった。一時期のような世界がまひした状況から再始動し、困難な時でもたくましく生きる人々の姿が応募作品に反映されているように感じられた。
一方で、数は少なくとも光と影の芸術という美意識をもって表現を試みたアート的作品にも印象に残る秀作があった。
鏡を効果的に使った対称形の構図が他を圧する存在感を発していた。もうひとりの自分と見つめ合う女の子は「鏡の国のアリス」のごとく異世界に入り込もうとしているようだ。好奇心に満ちた無垢(むく)な目力が強く印象に残る。