第10回全日本モノクロ写真展(全日本写真連盟関東本部、朝日新聞社主催)の審査が、このほど朝日新聞東京本社で行われ、入賞作品69点が決まった。応募総数は2048点。審査には写真家の英伸三氏と福島義雄・アサヒカメラ副編集長があたった。
講評 英伸三氏(写真家)
前回より応募数が650点も多かった。モノクロームの写真表現に可能性を託す支持層が加わったことの表れであろうか。デジタル作品もプリンターの高性能化などで、仕上げが向上した。都市や農村でのスナップ、祭りなどを題材にしたものが多かったが、子どもを被写体にした作品に優れたものがあった。
ただ、3月に東日本を襲った大地震と大津波、原発事故などに関わる作品はほとんど見られなかった。写真は自己表現と同時に、時代を記録する役割も担う。モノクロ表現の奥行きと幅を広げていくためにも、いま写真で何ができるか真剣に考えたいものである。