第11回全日本モノクロ写真展(全日本写真連盟関東本部、朝日新聞社主催)の参加が、このほど朝日新聞東京本社で行われ、入賞作品67点が決まりました。 応募総数は1944点。写真家の英伸三氏と勝又ひろし・アサヒカメラ編集長が審査にあたりました。
〔講評〕
今回も全国から変化に富んだ内容の力作が多数寄せられた。デジタル作品は全体の85%にまで増え、仕上がりもかなり安定してきたようだ。だが、気になることもある。デジタル写真では、カラーで撮影したカットをモノクロに変換してプリントすることが多いため、色彩効果が薄れ、撮影意図があいまいになって魅力を欠いた写真になってしまうということだ。実際の色彩に惑わされず、無駄な要素を省き、白から黒にいたる階調を多彩に使い分けるのがモノクロの世界であり、面白さである。そのことをしっかり意識して臨まないと良い結果は出ない。銀塩モノクロ写真との違いはこんなところにもあるように思う。
写真は時代の記録である。この国で何が起こっているのか、伝えたい事柄に正面から向き合い、さらに進化した作品が生まれることを期待したい。
交差点の角で自転車を止めて立ち話をする2人の女性。1台の方にはチャイルドシートがついているから、子どもを保育園に送っていった帰りだろうか。出会いを逃さず、子育て世代の活動的な日常を活写した見事なスナップだ。