審査 写真家・関東本部委員 ハービー・山口
総評
審査をしながら応募した方々のモノクロ写真へのこだわりがひしひしと伝わってきました。ベテランの方もかなりいらっしゃると思います。見応えがある作品が多く、改めてモノクロ写真の良さ、強さを再確認することが出来ました。
モノクロ写真には白、黒、そしてその中間調しかないのですが、それ故に色に捉われなることなく、テーマの本質が強調されるという大きな効果があります。また、モノクロの美しいグラデーションにも心を奪われます。
ここに選ばれた優れた作品を見て、モノクロの良さを認識する方も多くいられるでしょう。これからのモノクロ写真の発展を大いに期待しています。
見慣れた東京のアイコンの一つであるスカイツリーを背景に、写っている方々のそれぞれの生活感、
あるいは人生を垣間見ることが出来ます。それぞれが違う人生なのに、撮影地は共通しているという
心理に興味をそそられます。どこか植田正治さんの作風を彷彿とさせます。
逆光がシルエットを作っています。地表には長い影が落ちています。バットを振る姿も美しいですね。
夕日の色に囚われずにモノクロの画面構成がドラマティックです。人の表情が見えないのに、彼らの心の内が見えてきそうです。
どこか海外でのスナップかと思いましたが日本での撮影でした。彼らがとても絵になります。ファッション
誌の見開きページのようです。背景のテントや服装に色がない分、彼らの表情や心境が伝わってくるのでしょう。カメラに向かって笑顔を見せていないのがリアリティーにつながっています。
校内の廊下での撮影ですが、彼女の足を見せていないというアイデアにやられました。足が見えていない、スカートが揺らいでいる。それだけでこれだけの意外性を持たすことが出来るのですね。遊び心やユーモア
とか、小さなアイデアを持つことの意味を見せつけられました。
様々な物語を想像させる写真に惹きつけられました。二人の再会か別れか?性別は?二人の間柄は?この作品が仮にカラーですと、服装や車の色に気を取られてしまいます。モノクロだからこそのドラマを感じます。また顔を見せていないのがさらに想像力を煽っています。