審査 写真家・関東本部委員 ハービー・山口
ベテラン作家の作品からは、地に足のついた被写体への深い理解と、ご自分が抱くモノクロへのこだわりが合体した強さがあり、多くの高校生の応募作からは、若い世代が抱くモノクロへの憧れを感じました。
モノクロ表現には水墨画や書道などにも言えますが、どれもシンプルかつ究極の表現という印象があります。あえて色を除外することで強調されるものがあるのです。そして多くの作品から人生というものを強く感じました。
背景に写った機械の数々。一部が破損していたり、床にはゴミか何かが散乱していたりします。解体したのか部品を抱える男性の視線の強さにドキッとします。時代の流れ、そして離れていく作業員の心境がしのばれます。
高層ビルの屋上には風景にしてもスナップにしても日常とかけはなれた光景があります。この写真には警備員とお客さんとの組み合わせによる、ユーモア溢れる一瞬が見事に写し込まれています。瞬時の構図力が秀逸です。