第8回東北写真サロンの入賞者の作品を発表します。
審査は写真家の鬼海弘雄さんでした。
【総評】
アマチュア写真家には、職業にしていないための自由さがある。プロには合目的な役目をいつも負わされているからだ。写真は、「被写体」とのこころの穏やかな交流が基本だとあらためて感じた。現代人の強張ったこころをより揉みほごしてくれるような自在な写真。ますます無償と言う最大な徳を広めてもらいたい。
限られた場所から誰でもがレンズを向ける演芸は、撮るのがむずかしい。似たような写真になりがちだからだ。半澤さんは果敢に自分の目を遊ばせて、一瞬の動きを止めた。左手の奇妙なかたちが写真に驚きをもたらし、背景のぼけた光も味方にしている。
吹雪の乱舞する雪原。懸命に大地の草を食む雪まみれの二頭の馬。厳しい自然のなかで生きる荒馬たちの凛とした佇まいが、あらゆる生命にたいしての讃歌になっている。写真を見る人にも背筋を伸ばさせるような拡がりを生む力がある。
写真を撮ることは素直なこころの交流であることを教えてくれる写真。干し柿、薪、時計たちが饒舌に話かけてくる。だが、何と言っても小母さんの仕草と笑顔が、写真を観る人にまで幸せを運んでくれる。何事もこころを開く事の大切さを教えてくれる。