審査 写真家・全日本写真連盟副会長 榎並悦子
【総評】
審査を通して、風土や文化等が違う東北6県(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)の魅力をぎゅっと濃縮して見ることができました。県ごとの個性も感じられました。また、祭の熱気や豊かな自然、人々の多様な暮らしぶりに触れ、その奥深さに魅了されました。写真の題材にも恵まれた東北の魅力が、このサロンを通じて、さらに広がっていくことを願っています。
山形県庄内町で毎年夏に開催される「しょうない氣龍祭」でとらえた一枚。全長30メートルを超える巨大な龍は、人物との対比でそのスケール感が的確に伝わってきます。また、空に大きくかかったダブルの虹という予期しない贈り物を、対角線上に配置した見事な構図で、画面に広がりと高揚感をもたらしています。
旧正月、年男たちが参拝を終えて社を出る場面のようです。黒紋付羽織袴という正装が厳粛な気配を際立たせ、さらにストロボ光に照らし出された雪が、張り詰めた冷気と身の引き締まる空気感を見事に伝えています。静寂の中に厳粛なドラマが凝縮された作品です。
激しく降る雨をスローシャッターで線状にとらえることで、この場に流れる時間をも封じ込めています。風雨に揺れる竹林と、どっしりと枝を広げて耐える柿の巨木との対比が鮮やかで、静と動の比較を効果的に表しています。余韻を感じさせる配置も、作品の印象をいっそう深めています。