全日本写真連盟

第16回東北写真サロン

審査 写真家・関東本部委員 古市智之

【総評】
 第16回東北写真サロンにご応募いただきありがとうございました。今回は大雪の中の審査で、それだけでも貴重な体験でした。
 応募された作品は、さすが東北と言えるほどの美しい風景や伝統的な祭りが多く、バラエティーに富んでいました。ただ、風景写真は   広角レンズで広く撮った情景が多いなと気になりました。推測ですが、どこを撮ってもそれなりに画になってしまう美しい風景が東北には多いからでしょう。お祭りでも、祭りを紹介したような写真が見受けられました。どちらも作者の視点が効いた個性が出てくると、もっと写真が面白くなると思います。
 今回の審査を終えたとき、東北地方は被写体の宝庫だなと改めて感じました。私としては何とも羨ましい限りです。皆さんには、この地の利を是非生かして欲しいと思います。では、またお会いできる日を楽しみにしています。


 最優秀賞「朝の黙」 川村勝(青森県)

昨今流行のいわゆる絶景写真とは対極にある情景です。一見モノクロかと見紛うような落ち着いた色合いにしたことで、ポツリと灯った暖色系の電灯が引き立ち、寒そうな画面の中に微かな温もりを感じます。さらに画面手前から奥に続く車の轍も中央部の人物へと視線を誘っていて効果的です。北国の厳しい自然の中で暮らす人々の生活が外連味のない視点で描かれていて、日常の中に潜む美を見出した叙情詩的な作品として素晴らしいですね。

 朝日新聞社賞「散水グランド」 佐藤義敏(秋田県)

あえて試合と言う晴れ舞台を撮らず、練習時間の断片を切り撮ったことで、日々野球と共にある球児たちの青春が表現されているように感じました。頭上を超えるような散水の勢いにも夏の暑さを思わせる季節感があり、一服の清涼剤として効いています。立体感のあるライティングも美しく、これによって表情が浮かび上がったことも効果的。「絶対に甲子園に行こうな」とでも話しているのでしょうか、まるで彼らの会話が聞こえてくるようです。

 全日本写真連盟賞「黄昏色のとき」 阿久津啓三(福島県)

光の美しさが印象的な作品です。若干コントラストが高いようにも思いますが、この作品ではより光を強く感じさせるポイントともなっていて効果的です。薄く張った氷と水面との境をほんの少しだけ見せたことで、季節が移り変わっていく途上にあることを想起させ、自然の奥深さを感じます。これらは、ただ漠然とした広い風景写真にしなかったことで見えてきたフレーミングの力です。視点を絞った思い切りの良さが功を奏しましたね。

 青森県優秀賞「窓越しの鳥」 柳谷昌輝(青森県)

もし私がこの場にいたならば、手前の黒いボケは画面から外すでしょう。写真は引き算と言われているように、余計なものは画面から外すのがセオリーで、その習性が染み付いているからです。しかしこうして一点の作品として見た場合、額縁のような効果が出ていて一層アーティスティックな作品に仕上がっていると感じました。写真のセオリーに囚われない、このような表現ができる作者に脱帽です。

 秋田県優秀賞「ババハス アイス」 佐藤和夫(秋田県)

写真は作り込みすぎると、とかく作為が目立って興ざめになることも多いのですが、この作品はパロディー写真として面白いですね。タイトルもババヘラアイスから着想を得ているのでしょう、その点もパロディーの一環として効いています。写真を趣味とする場合、何より楽しむことが一番です。そのような作者の気持ちが画面から伝わってくるようで、見ているこちらも楽しくなる作品でした。

 岩手県優秀賞「春 歓びの日」 佐々木嘉久(岩手県)

結婚式での一コマでしょうか。よほど嬉しいのか、子供のようにはしゃぐ新郎が何とも微笑ましいですね。そんな新郎を優しく見ている新婦の笑顔も素敵です。杓子定規な写真にしなかったことで、逆に素晴らしい記念写真となりました。結婚は人生の墓場などと揶揄する先人もいますが、この二人はきっと幸せになるのだろうなと見る人に思わせる力があります。それがこの写真の魅力です。

 山形県優秀賞「祭りの少女達」 齋藤彰(山形県)

出店屋台で買ったのでしょうか、アメを食べ歩きしている少女の姿には、まだ幼さを感じます。そのことが、絵どうろうの中の妖艶な女性との絶妙な対比を生んでいます。絵どうろうで少女達を囲ってしまった構図にスキがなく、現実と夢の狭間を垣間見るようで効果的。これ以上引いても、逆に詰めてもこの効果は半減するでしょう。まさにフレーミングのお手本のようで、確かな実力を感じました。

 宮城県優秀賞「祭りのひと時」 山本かつい(宮城県)

気合を入れたバッチリメイクで祭りに参加する女性と、まだあどけない子供との対比が効いています。同じポーズで撮影したことで、この子もとなりの女性のような感じになるのだろうという想像が強固となり、二人の微笑ましい絆を感じます。絆という意味では、祭りという長い年月を紡いできた舞台は地域との繋がりを感じさせます。この点も作品内容を補強する材料として申し分ありません。

 福島県優秀賞「神事、飽きた」 佐藤幸雄(福島県)

「もうヤダ」と顔が語っていますね。何とも微笑ましい少女が主役なのですが、そこをことさらアップで主張せず、拝殿を広く写し込んだことで厳かな雰囲気がより伝わってきます。これによって少女のしぐさとのギャップが鮮明になり、写真の魅力が倍増しました。髪を角隠しにしていることから周りの女性は花嫁さんでしょうか、まさに大人と子供の結婚観の違いが表れているようで面白いですね。

 入選

「Beyond・・・」 工藤孝子(青森県)

「良い子になります」 鈴木耕二郎(青森県)

「津軽三味線演奏」 成田敏(青森県)

「初冬」 福田修逸(青森県)

「祭りの街角」 五十嵐敏紀(秋田県)

「湖都めぐり」 小林武祐(秋田県)

「路面の影」 小松幸男(秋田県)

「晴天の霹靂」 根田堅三郎(秋田県)

「舞い終える」 齋藤久(秋田県)

「ちょっとお昼寝」 嵯峨優子(秋田県)

「グリーンモス」 佐藤廣治(秋田県)

「四股踏み入門」 眞田康平(秋田県)

「-2℃」 鈴木哲郎(秋田県)

「歓喜」 関口晴子(秋田県)

「少女」 竹中京二(秋田県)

「夏の残影」 原田司(秋田県)

「湧水の抽象画」 増村均(秋田県)

「冬の晴れ間」 三浦進(秋田県)

「愛好者」 及川茂輝(岩手県)

「お出かけ」 小畑一弘(岩手県)

「初雪のなかで」 小林愼悦(岩手県)

「対峙」 馬場信孝(岩手県)

「担ぎ手不足」 後藤博(宮城県)

「出待ち」 佐藤一之(宮城県)

「小休止」 佐藤宣雄(宮城県)

「水辺に咲く」 高橋達也(宮城県)

「禊」 竹井晴彦(宮城県)

「虹彩を放つ、明月」 丹治尚紀(宮城県)

「隙間時間今昔」 原田雅博(宮城県)

「青いこいのぼり」 藤島純七(宮城県)

「踊るシャドー」 藤原靖也(宮城県)

「祭りの日」 小野浩也(山形県)

「無言」 齋藤司(山形県)

「雪に舞う赤い鳥」 佐藤直記(山形県)

「深山の桜」 鈴木貞治(山形県)

「雪の百万遍」 樋渡博(山形県)

「静寂な朝」 横尾範昭(山形県)

「霧氷の朝」 渡部潔(山形県)

「雪煙」 石津節男(福島県)

「春嵐」 管野吉正(福島県)

「出逢い」 佐々木正男(福島県)

「歳寒の忘れ柿」 佐藤修(福島県)

「らくちんだよ~」 只木吉昭(福島県)

「祭だ! 出かけよう」 馬場正幸(福島県)

「HIT!!」 舟山俊弘(福島県)

「夢のよう」 星野学(福島県)

「パパやったね」 村田博(福島県)

「晩秋の景」 森藤哲良 (福島県)

「おむすび山」 小菅紘宇(千葉県)

「眠りたいお年頃」 立川明(神奈川県)

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