全日本写真連盟

第20回甲信越写真サロン結果発表

審査 写真家・関東本部委員 大西みつぐ

【総評】

各県応募総数の違いがそのまま結果として表れているようです。それはそのままたくさん撮るという個々の課題に結びつきます。今回目立った作品としては、「撮影会」方式で演出したスナップショットを大勢の人々が囲んで撮るというものが複数ありましたが、ちょっと苦しい形式であると思います。木村伊兵衛や土門拳の時代に戻らなくともよいですが、自然で切実な、あるいは溌剌としたスナップショットを期待したいところです。

 朝日大賞「不 安」 小林 公一(新潟県)

秩父の写真家・南良和さんの「ある山村・21歳の花嫁の手」(1972)を思い出します。この作品も切実なイメージとともに、温かみと優しさが写真を見るこちらを貫き個々の記憶に繋がります。「写真」ならではのイメージと表現。レンズ、絞りなどギリギリの設定ながら、主題にしっかり沿った表現力を発揮しています。人間の尊厳をしっかり考える時代に私たちは今いることを忘れてはなりません。

 朝日新聞社賞「春うらら」 土田 豊(新潟県)

しばし写真に心を癒されるというのはこういう風景。この小さな川の流れの奥へ奥へと誘われます。誰もが持っている「ふるさと」のイメージ。永遠の桜、子どもたちの歓声、トラクターの音、日本の春を余すことなく散りばめ写真を撮ることの楽しさと喜びをしっかり伝えてくれています。

 全日本写真連盟賞「母94歳」 髙橋 ジュン(新潟県)

雪面の反射が暗い入り口を明るく照らし、白菜と大根を抱えたお母さんの笑顔が素敵で美しく捉えられています。その存在感と同等にスコップや農具や笠もそのままそこにあり、日常の息吹を伝えています。その場で、モノの配置に自然に目がいくということは作画の上でとても大切なことです。

 優秀賞「にらめっこ」 一橋 和真(山梨県)

かつてリバーサルフイルムを撮っていたみなさんなら、少しアンダー気味に撮りたくなるものですが、昨今のデジタルではこんな明るめの写真が好まれたりします。堂々と逆光もフレアもゴーストも活かすという作品ですが、両者の触れ合いが美しく眩しいまでのイメージとして結集されています。

 優秀賞「幻 想」 島根 八重子(長野県)

この神秘的な霧にすっかり包まれてみたいという気持ちにさせてくれます。色彩をいかにコントロールしていくかは、単に画像処理ソフトの使い方だけの問題ではありません。撮影現場での「記憶色」が大事です。そこに露光時間も細かく関わり、結果としてこうした美しいイメージが展開できます。

 特選

「暗闇の飛翔」 中村 尚志(新潟県)

「家 路」 岡村 國次(新潟県)

「ルージュ」 太田 裕一(新潟県)

「いこいのひととき」 向山 凱彦(山梨県)

「朝の準備」 音喜多 信也(長野県)

 準特選

「幻の成人式」 林 春男(長野県)

「温泉釜」 大竹 博(神奈川県)

「道くさ」 新井 勝義(新潟県)

「豊作です」 坂田 辰榮(新潟県)

「晩 酌」 西村 美枝(長野県)

「親子で支える」 山本 寿一(神奈川県)

「YUUくん」 田中 弘子(新潟県)

「子の眼」 長塚 進舞(山梨県)

「花美師」 長谷川 真一(新潟県)

「眼力(ヒメアカタテハ蝶)」 山浦 一男(長野県)

 入選

「北風と太陽」 小林 勝(長野県)

「黎 明」 朝井 美紀子(長野県)

「夏の想い出」 橋本 和嗣(長野県)

「水精の踊子」 平林 光行(長野県)

「秋 舞」 保口 孝夫(愛知県)

「馬に揺られて」 後藤 龍雄(愛知県)

「雪のお出かけ」 吉田 行男(長野県)

「大和尚」 青山 益登(長野県)

「晴れて一年生」 北村 民治(長野県)

「散る春」 市川 幸徳(長野県)

「少 女」 小林 理(長野県)

「僕って害虫に見える?」 袖山 哲(長野県)

「雨の境内」 神戸 幸人(長野県)

「横 顔」 土屋 芳孝(長野県)

「寒風に耐える」 大野 忠(新潟県)

「幽玄の舞」 永嶋 肇(新潟県)

「輝きの中で」 蕪木 佳子(新潟県)

「おいしそう」 小柳 裕子(新潟県)

「稲の虫送り」 浅見 良夫(新潟県)

「あかね色に染まる」 長谷川 恵美(新潟県)

「夕焼け」 山川 好(新潟県)

「とどいたよ」 渋木 高志(新潟県)

「ワイパー 一拭き」 髙橋 庄英(新潟県)

「風薫る」 渡辺 清一(新潟県)

「清楚に!」 長野 洋三(新潟県)

「力を一つに」 広川 信俊(新潟県)

「お家でキャンプ」 梨本 清一(新潟県)

「もうすぐお姉ちゃん」 野島 涼太(新潟県)

「初夢はなあに」 佐藤 研二(新潟県)

「コロナを見た」 山口 愛子(新潟県)

「身支度」 野澤 和幸(新潟県)

「富士山に飛ぶ」 岡本 洋三(東京都)

「二人のVサイン」 野尻 明張(新潟県)

「秋 雪」 米山 留美子(新潟県)

「守護神のいる門」 中沢 賢治(神奈川県)

「波 動」 五十嵐 柾章(新潟県)

「風雪を往く」 若杉 元(新潟県)

「佳 日」 外石 富男(新潟県)

「75歳の秋」 小島 寛明(新潟県)

「昼下がり」 田村 真由美(埼玉県)

「紅白咲き競う」 皆川 明(山梨県)

「下駄神輿」 松村 央男(山梨県)

「愛する幼児と共に」 小島 爲玖生(神奈川県)

「ノスタルジー」 兵後 敏博(山梨県)

「祝いの記念撮影」 望月 貴光(山梨県)

「冬」 遠藤 欣也(山梨県)

「蹄鉄を打つ」 長田 力(山梨県)

「雲に乗りたい」 角田 東洋男(山梨県)

「ダイブ」 頴原 学(山梨県)

「富士礼拝」 中嶋 淳(山梨県)

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19/4/26 初心者向け公式写真撮影ガイドブック 発売中
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19/2/15 「全日写連」ルールについて
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2022/08/01
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