第16回「甲信越写真サロン」写真コンテスト
審査講評 写真家・全日写連関東本部委員 小林紀晴
総評
長野、新潟、山梨の方の作品を拝見しました。今回、感じたのは土地が持っている場の力の強さについてです。魅力ある被写体がたくさんある地だからです。身近にあるものを繰り返し撮影することほど強いものはありません。是非、足元の続きを、これからも新たな目線で撮影してください。
主催:全日本写真連盟甲信越ブロック・朝日新聞社
協賛:㈱ニコンイメージングジャパン・エプソン販売㈱サンディスク㈱・ベルボン㈱
葛飾北斎が描く世界を連想しました。大胆な切り取り方、ある部分を極端なまでに強調する構図などが重って思えたからです。落下する花火が画面の多くの部分を占めています。その下には海。そして浮かぶ船。あたかも船に火の粉が降り注ぐかのようです。静的でありながら、動的です。
一艘の船が雪の中に佇んでいます。けっして海の上ではなく陸です。ストロボを上手に使い、あたかも雪のなかを船が疾走しているような錯覚をおぼえます。雪が海に見えてくるから不思議です。モノクロでの表現も内容にあっています。
雪の上に横たわっているのはイノシシの毛皮のようです。そこに猟犬が一匹。少しばかりドキッとさせられます。毛皮、雪、犬、そして背後の民家。それぞれの関係が静かに反響しあっています。場所がもつ力について考えさせられます。
冬の白鳥を撮影した作品は多く目にしますが、この作品は一味違いました。広角レンズで捉えたことで、より情感を感じさせます。「遥か遠くへ」という言葉が自然と頭に浮かびました。逆光の難しい光も見事にコントロールしています。