関東本部主催 第13回全日本まつりフォトコンテスト 審査・講評 写真家・関東本部委員 林義勝 【総評】 未曽有のコロナ禍でのフォトコンテストになった。それにもかかわらず、全国各地から応募があり、多くの力作に出合えたことは喜ばしい。何より、個々の作品から元気をもらったような気がした。これは、それぞれの祭りに込められている災厄を払い、平和を祈る人々の願いに触れることが出来たからなのだろう。審査は、全国各地に根付いている祭りの神髄とは何かを考え、日本の美学を再認識する機会となった。
おぼろげでありながらも胸の中にある内面の意識を視覚的に捉えている。俄雪をハイキー調に表現した狙いが功を奏し、異界へ誘うような世界観を醸し出している。
海上の舞台で厳かな舞が披露され、自然と人間が融合した幻想的な情景だ。2019年に撮られた写真だが、コロナ禍という時世に発表したことで、鎮魂絵のような趣がある。
古来伝わる伝統の祭りを、先人たちが大切に守ってきたことをうかがい知るような光景。見事にこの一瞬を切り取った。作品づくりに挑む撮影者の真摯な姿勢が、垣間見える一枚だ。
おしろいで化粧した少女を正面から正攻法で見事に捉えている。お祭り騒ぎという言葉もあるのだが、本来、心を清らかに厳かに行う儀式こそが祭りである。
写真はその時にしか味わえない感動がある、そのためにいい条件で撮影に臨む事が大事になる。心身が高揚し、奇跡の一瞬を捉えたその時の撮影者の感動の思いが伝わってくる。
祭りは「祀る」の語源が由来とされ、神仏や祖先を敬い、感謝、祈ることが始まりと言われている。祭りの様式美をシンメトリーの明快な構図で切り取った視点がいい。
「神楽の夕べ」 芳賀和代(山形県)
「力強く」 小林一夫(茨城県)
「気合い」 三宅清償(埼玉県)
「読み合せ」 平田佐和子(埼玉県)
「傾く日本橋」 立川 明(神奈川県)
「太鼓山を揚げろ」 小川 賢(神奈川県)
「長老からの祝い酒」 渡邊雅勇(静岡県)
「海中渡御」 後藤年良(愛知県)
「旧家の雛祭」 木村 薫(大阪府)
「決めポーズ」 黒住洋子(岡山県)
「新たな世代へ」 小薬勝雄(茨城県)
「傘の声援」 酒井正志(茨城県)
「喜雨」 新井とみ(埼玉県)
「龍神のおたけび」 堀之内稔(埼玉県)
「花火の夕」 古怒田潔(埼玉県)
「男衆」 一瀬邦子(埼玉県)
「これが一番」 菊地博子(埼玉県)
「花いっぱい」 吉田充輝(千葉県)
「祭りの合い間に」 松浦昭子(千葉県)
「背番号10」 王子田良二(千葉県)
「みんな無病息災」 国広妙子(千葉県)
「一人角力」 大和かすみ(東京都)
「百手式」 柴田勝彦(神奈川県)
「愛娘」 伊藤信幸(神奈川県)
「龍神」 藤川豊彦(神奈川県)
「真夏のよさこい」 山田俊次(神奈川県)
「キャッチ みかん!」 畠堀ひと美(神奈川県)
「踊れや泳げ」 大西圭治(神奈川県)
「踊り明かす」 鈴木生子(神奈川県)
「村回り」 井上和人(神奈川県)
「ひょうきんキツネ少女」 松浦昭宏(静岡県)
「人馬一体」 田中和則(愛知県)
「おはなし」 大島 守(愛知県)
「ひそひそ話し」 堀 邦夫(愛知県)
「泣き相撲行司」 外勢 肇(愛知県)
「着付前」 梁井英雄(三重県)
「豊作祈願」 瀬戸茂子(三重県)
「干支神輿」 國本三郎(三重県)
「ボクも主役」 加田 誠(富山県)
「一心」 芝﨑静雄(愛媛県)
「なまはげの下山」 真角伸子(福岡県)
「鯉の仕掛人」 山中美恵子(福岡県)
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