「現代を撮る」をテーマに41回目となった写真コンテスト「全日本写真展2013」(朝日新聞社、全日本写真連盟主催、株式会社ニコンイメージングジャパン協賛)の審査が朝日新聞社で行われた。5134点の応募作から、入賞作品152点(一般の部108点、高校生の部44点)が選ばれた。
【総評】 全日本写真展の最大の特徴は、北から南まで日本中を網羅した写真があるということだ。実際、今回もバラエティーに富んでいた。ただ、その一方で、インパクトのある写真は少なかった。また、総じて組み写真より単写真の中にストーリー性のある作品、力強い作品が多かった。
一般の部では震災をテーマに時代を表現した写真は減り、家庭や地域をもう一度見直していこうという、温かい写真が多く見られた。震災から2年がたち、少し落ち着きを取り戻したことに由来するのかもしれないが、困難な生活を強いられている人はまだまだたくさんいる。震災に関連する写真をもっと見たかったという思いを禁じ得ない。
単なるノスタルジーではなく、過去と現代をつなぐような切り口の写真ももっとあっていい。さらに、「現代を撮る」とうたう以上、自分の内面を掘り下げて社会を切り取るというアプローチの仕方がもっと試されていい。そうすれば、作品の厚みがいっそう増してくると思う。
■審査委員(敬称略)
松本徳彦(審査委員長、写真家、全日写連関東本部委員)
大西みつぐ(写真家)
百瀬俊哉(写真家)
笹岡啓子(写真家)
日野義治(全国高等学校文化連盟写真専門部会長、全日写連理事)
伊藤康雄(全日写連関東本部委員長)
伊藤滋(全日写連中部本部委員長)
渡辺幹夫(朝日新聞社映像ディレクター)
勝又ひろし(アサヒカメラ編集長)