全国の写真愛好家から過去最高の1500点の応募作品が集まった「第47回西部写真コンクール」の審査が朝日新聞東京本社であり、50人の入賞者が決まった。審査は、写真家で全日本写真連盟会長の田沼武能氏が担当した。テーマは自由で、最優秀のグランプリのほか、ネイチャー(自然)、ヒューマン(人)、アニマル(動物)、フェスタ(祭り)の各大賞と優秀賞5点、入選の40点が決まった。グランプリには真角伸子さん(北九州市戸畑区)の「ひと時」が選ばれた。
■主催
朝日新聞社、全日本写真連盟西部本部
■協賛
エプソン販売株式会社
キヤノンマーケティングジャパン
ニコンイメージングジャパン
【田沼武能氏の講評】
応募作品すべてのレベルが高く、選ぶのに大変苦労しました。考えに考えて、アイデアを振り絞って作品づくりをしているのが伝わってきます。特に動物写真には驚かされました。例年多く寄せられるサルの仲間は、表情が人間に似ているので、訴える力が強い作品が生まれます。しかし、今回はそれをしのぐ鳥類の写真が集まりました。なかなか撮れない瞬間をうまく捉えた、まさに「生きるドラマ」が写しだされた作品が多く、選ぶのに悩みました。
その中でもアニマル大賞となった「捕獲」は、鳥と魚の決闘を絶妙のタイミングで切り取った秀作です。ミサゴに捕まった魚が悲鳴を上げているような瞬間を見事に捉えた。写真ならではの迫力ある作品です。
グランプリに輝いた「ひと時」は、子供と女性陣の和気あいあいとした楽しい雰囲気が写し込まれています。ミルクを与えながら仲間と談笑している「肝っ玉おばあちゃん」の姿が印象的で、人間のドラマが忌憚なく写し込まれている素晴らしい作品です。
ネイチャー大賞の「天狗の落書き」は、ロケット打ち上げ時の雲の模様が、タバコの煙のような面白い形で写り込んでいます。二度と撮ることのできない決定的瞬間を、朝焼けの景色を背景に写し撮り、ダイナミックな風景写真に仕上がりました。
ヒューマン大賞の「窓辺の物語」は、旅館の窓から花火見物をする人を撮った傑作です。花火を撮らずに、この風景に着目した作者の感性には驚かされました。シルエットで写しだされた人物の配置で、それぞれの家族の人間模様が伝わってきます。
色々な祭りの中からフェスタ大賞に選んだのは「変顔」です。化粧をしている少年の表情が何とも言えませんね。うれしいような、照れくさいような。真っ暗な背景に浮かび上がった顔のアップに、子供の心情が写し込まれた素晴らしい作品です。