第8回 石垣・石段・石畳フォトコンテスト
歴史ある日本の石組み文化を知ってもらうための第8回 石垣・石段・石畳フォトコンテストが開催され、全国42都道府県から320人、1004点の応募がありました。多様な作品が集まる中、最優秀賞に「時代の巻き戻し」岡田哲哉さん(東京都八王子市)、優秀賞に「精緻の美~DNAに秘められた石垣模様~」園部治之さん(神戸市)、「オサキ狐の通る道」山下一成さん(東京都台東区)が選ばれました。
◇入賞作品の展示日程◇
2020/2/1~14 朝日新聞社大阪本社 中之島フェスティバルタワー13F スカイロビー
【中止!】4/7~17 デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパス(東京お茶の水駅前)
6/20~7/3 朝日新聞社東京本社 2F コンコースギャラリー
秋頃予定 龍谷大学 深草キャンパス
【審査を終えて感想】
■みうらじゅん(イラストレーター)
今後の「石コン」に於いて必要なのは、石ドル(石アイドル)だと思い、写真の彼に託す気持ちで最優秀賞としました。そして、次点に選ばせて頂いた蝶の写真。“石垣蝶”って言うんですか?知りませんでした。すごい発見と発想に審査員、満場一致で決定です!
■若子jet(写真家)
審査員一同、今年も石という切り口による色々な方の表現に、見事に楽しませていただき ました。石は生活の一部にも多くあり、必要な存在です。 石への愛も沢山感じられる多くのユニークな作品たちにも出会え、新たな気づきもありました。
だんだんと回が進むにつれ、再来年には石コンもついに第10回目を迎えます。より日本の石文化を知っていただくきっかけになっていただけたらと思いますし、皆さんとさらに楽しく盛り上げていきたいと思っていますので、何卒よろしくお願いいたしま す。
■玉置泰紀(KADOKAWA/2021年室エグゼクティブプロデューサー)
石コンに限界がないことを改めて実感しました。”石垣”の解釈に審査員自身が試されている怖さを感じて、めちゃめちゃ楽しくなりました!”石”という縛りが想像力を逆に焚きつけるのでしょうね
■釈徹宗(宗教学者、浄土真宗本願寺派如来寺住職)
今年はストーリー性の高い作品が多かった。最優秀賞に選ばれた「時代の巻き戻し」にしても、学生奨励賞の「二人の世界」にしても、写真からはみだす“語り”が魅力である。「オサキ狐の通る道」は、宗教学的にいろんな妄想を誘発させられるような作品であった。
■伏見美雪(アサヒカメラ編集長)
「一般的な写真コンテストとはまったく違う」と事前に聞いていたとおり、ユニークな審査でした。いい意味で、通常であれば上位に食い込んでもおかしくないような作品は選ばれません。石組みの文化というテーマや対象をどう捉えるか。発想や視点の柔軟性が問われることで、写真の世界が広がるように感じました。
■高島幸次(大阪大学招聘教授)
第8回にもなると、審査員を試すような応募作が増えてきた。石コンなのに、石が写っていない作品、石がワキのようで実はシテという作品。審査しているつもりが審査されているのかも。それでいいのだ。石コンは一億総カメラマン時代のフォトコンを模索中。
■入澤 崇(龍谷大学学長)
龍谷大学賞の講評は作品の下に掲載しております。
■内田 昂(内田写真株式会社経営戦略本部長)
内田写真賞の講評は作品の下に掲載しております。
【主催】全日本写真連盟、朝日新聞社、龍谷大学、アサヒカメラ
【協賛】エプソン販売株式会社、内田写真株式会社
(敬称略)
講評 写真家 若子jet
神楽坂という石畳が多く見られる街並みで、男の子を夜に撮影した作品です。威圧感のあるかっこいい表情と絵柄的にもインパクトがあり、印象的でした。石畳に添えた手は、まるで石から何かが伝わるかのようです。
講評 写真家 若子jet
こちらは「石垣蝶」ですが、蝶々の羽の模様が、石が重なり合っているかのような綺麗な姿を収められた作品に、まずは驚きました。
まだまだ皆さんの日常生活の気がつかないところで、石らしく見えるものがあるかもしれませんね。石が好きだからこそ、見つけられた、見事な作品だと思います。作者が捉える石への愛を感じます。
講評 写真家 若子jet
石じゃりの上にある石畳を歩く狐のお面をかぶった女性も、モノクロでクールにかっこよくとらえた1枚だと思います。またモノクロで表現されたことで、石の素材感と、より人物が主張された気がします。
講評 龍谷大学学長 入澤 崇
スマホ世代の若者は時に大人をギクリとさせる行動をとります。着物を着て京都祇園の石畳を歩く友の姿を後ろからハイ、パチリ。「着物なのにお行儀が悪い」なんて、言いっこなし。「面白いポーズだね」と、優しく陽光を照り返す石畳。
講評 内田写真株式会社 経営戦略本部長 内田 昂
ひな祭りに合わせた地域の行事でしょうか。背景には大きな折り鶴も見えます。日本の伝統的行事に合わせてお子様の成長を願いたくさんのひな人形を設置された方々、照れながらも嬉しそうな女の子、咄嗟にカメラを向けた撮影者の様子が一枚の写真から読み取れたのが印象的でした。
講評 全日本写真連盟関西本部事務局長 森井英二郎
なんでシャワーキャップ?分からないところが「現代人」なのでしょう。石組みの安定した構図の中央で、足や手が四方八方に伸びた様子は、より不思議な印象を感じさせてくれます。
講評 全日本写真連盟関西本部事務局長 森井英二郎
二人のシルエットを中心に置くと、上部に空間ができてしまいがちですが、木々の様子を入れてうまく処理しています。眼下に広がる町は石組みの高さを感じさせ、夕焼け空に浮かぶ二人の姿から楽しそうな雰囲気が伝わってきます。