全日本写真連盟

第7回石垣・石段・石畳フォトコンテスト受賞作発表

第7回石垣・石段・石畳フォトコンテスト受賞作発表

 古くから伝統的に受け継がれる日本の石組み文化を知ってもらうための「第7回石垣・石段・石畳フォトコンテスト」(主催:全日本写真連盟、朝日新聞社、龍谷大学、アサヒカメラ 協賛:エプソン販売、内田写真)が開催され、全国38都道府県、229人から寄せられた705点の応募作から、入賞・入選作品29点が選ばれました。受賞作品は2月1~14日まで、大阪市北区中之島2丁目の中之島フェスティバルタワー13階スカイロビーで展示する他、龍谷大学、東京本社で巡回展をします。


【 審査員感想 】

■みうらじゅん(イラストレーター)
 M―1グランプリの審査員のように毎回、真剣に選考してます、みうらです。やっぱ悩むのは“ゆーもあ”という昭和なセンスについて。人それぞれ違いますから、その解釈。僕は石畳で、Tシャツがストーンズの子供。ゆーもあ、分かり易くていいと思いました。

■釈徹宗(宗教学者、浄土真宗本願寺派如来寺住職)
今回も、陰影豊かに石の表情を捉えた写真が、数多く出品された。そんな中、個人的に眼をひいたのは文化賞受賞作の「旅人と奇石」であった。大坂城の石垣に、異文化テイストあふれる旅人が写り込むだけで、石の見え方が変わる。なにやら無国籍的な印象を放つのである。石垣がもつ多面性を引き出した作品だと思う。

■若子jet(写真家)
 回を重ねる度にユニークな作品が沢山集まっています。人間愛に包まれた作品が多かったのが印象的です。
最優秀石組み文化賞は、堂々としたフレーミングでの「奇石」とミスマッチな「旅人」を切り取った作品です。写真にする意味が深くあり、そういった出来事を伝えていく必要のある作品だと思います。コンテストの流行りや傾向もあるのですが、今年は新たなコンテストの流れを作っていただけたと思っています。また次回も、新たな発想で笑わせてください。いかに自由な発想で、どう展開できるのかといった点もこのコンテストの醍醐味なのかなと思います。

■玉置泰紀(KADOKAWA/2021年室エグゼクティブプロデューサー)
7回目となり、コンテストの趣旨を汲んでいただいた成熟した作品が増え、審査する側も実に愉しいです!毎年、大きな流れと言いますか傾向があるのですが、今年は"人間力"を感じました。たとえば、小出さんの優秀賞のお母さん。実に人生やドラマを感じさせる瞬間を切り取っています。文化賞のヒジャブの女性が石垣の前に立つだけで、一気にアラブ世界を感じさせたり、優秀賞の佐久川さんが撮った子供の写真の躍動感(Tシャツが”ストーン”ズ!)。こういった中、ユニーク賞は人間でなく、メガネだけで意思に表情を持たせるという切り口が光りました。今から、8回目が楽しみです。

■佐々木広人(アサヒカメラ編集長)
 現在のカメラは何でも写ります。だから「ただ写す」のは本当につまらない。そこで問われるのが視点とアイデア。高度な撮影技術で勝負するのもアリですが、大喜利として笑いを取りに来るのもOK。いやはや、なんとクリエイティブなコンテストなんでしょう!

■高島幸次(大阪大学招聘教授)
近年は変化球の応募作が多くなってきた。通常のフォトコンが直球のスピードやコントロールを競うものだとすれば、本審査では変化球のキレが重視される。今回は石の映らない作品までもが寄せられた。来年はどんな魔球が投げ込まれるのか楽しみでならない。

■入澤 崇(龍谷大学学長)
龍谷大学賞の講評は作品の下に掲載しております。

■内田 昂(内田写真株式会社取締役)
内田写真賞の講評は作品の下に掲載しております。

 敬称略

【主催】全日本写真連盟、朝日新聞社、龍谷大学、アサヒカメラ
【協賛】エプソン販売株式会社、内田写真株式会社

 最優秀石組みユニーク賞「見る MILL STONE」 新内達也(大阪府)

石垣の一部を擬人化するかのようにサングラスを添えた演出が面白い。バカバカしく何とも間が抜けていてインパクトがある。所謂、写真の基本に当てはめないユニークさが良い。このコンテストにはピッタリだ。

 最優秀石組み文化賞「旅人と奇石」 加田孝子(三重県)

イスラム教徒の女性が身に着けるヒジャブだろうか。正面の石垣とのコントラストが面白い。偶像崇拝を嫌うイスラム教徒は写真を撮られるのを極度に嫌う。写真の中で顔が見えてないのも良い。元来そのためのヒジャブなんだから。

 優秀賞「小憩中」 小出ま凜(沖縄県)

まるで昭和の映画の看板。首に巻いたタオルで口を覆っている女性の目線が何とも言えずレトロな雰囲気を醸し出している。もうこうなったら石垣なんてどうでも良い!っと思わせるような作品。このコンテストの面白さが顕著に出ている。

 優秀賞「うなりの休息」 古川佐代美(福岡県)

阿蘇神社で行われる御田祭(おんださい)の神輿行列の中で登場する「うなり(宇奈利)」という女性たち。神社の石段で休憩している女性の間合いが良い。絶妙な距離感で、そこにあるふんわりとした空気感が何ともいえません。

 優秀賞「わくわくジャンプ!」 佐久川太陽(沖縄県)

石組みのアーチ?をくぐる子どものはつらつとした動きが良い。Rolling StonesのTシャツがダジャレている。Tシャツが分かり易いのでバカバカしさがすぐ伝わってくる。

 龍谷大学賞「居眠り」 堀雅征(三重県)

掃き清められた石畳に「通行不可」の文字が。その横で少年がひとり眠りこけている。衣装から見て、おそらく祭りの後だろう。疲れ果て帰り道で睡魔におそわれたと思われる。「ゆっくりお休み」。撮影者の思いがひしひしと伝わるナイスなショット。
入澤 崇(龍谷大学学長)

 内田写真賞「園児の乗物」 渕上忠臣(福岡県)

今回選ばせていただいた写真はきっと日常的にカメラを持ち歩いておられる写真が好きな撮影者が、園児のにぎやかな声を耳にして思わずシャッターを切られた光景が目に浮かびました。石垣石段同様、写真もまた日常に溶け込む存在であってほしいと思います。
内田 昂(内田写真株式会社取締役)

 学生奨励賞「お気に入りの場所」 八幡梨央花(沖縄県)

石垣を背にポーズする少女が何ともいえず可愛らしい。大した石垣でもないのか、主役は少女に奪われてしまった。

 学生奨励賞「一歩、いっぽ」 谷川瑞穂(東京都)

この一枚のためにわざわざフィギュアを作って演出した作者におめでとうと言いたい。ミニ石段を下ろうとする表情にちょっとした寂しさとあったかさを感じる。

 入選

「光る石畳路」 中川武典(愛媛県)

「大阪城VS伊賀上野城」 大畑昭雄(三重県)

「街の谷」 露木義光(静岡県)

「快晴」 近藤茂樹(三重県)

「寒の登院」 木村薫(大阪府)

「先ずは健康チェック」 井上修(福岡県)

「拠り所」 津波古真琴(沖縄県)

「照らし出す」 田中則子(広島県)

「石肌を感じる」 小和泉春男(京都府)

「春の朝」 村田元(三重県)

「よーい どん」 城島正子(三重県)

「ときめき」 穐田茂樹(京都府)

「見通す」 伊吹紀男(京都府)

「長い石段」 川井敏生(大阪府)

「亀甲岩」 松本美枝子(岡山県)

「我が母校」 阿部立子(埼玉県)

「異国文化」 鈴木一彦(大阪府)

「鬼ケ島の出口」 親川輝一(沖縄県)

「光を求めて」 津田多賀子(愛知県)

「モンローウォーク」 宮本壽男(埼玉県)

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2022/08/01
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