世界に誇れる日本の石組み文化を知ってもらうための「第6回石垣・石段・石畳フォトコンテスト」(主催:全日本写真連盟、朝日新聞社、龍谷大学、アサヒカメラ 協賛:エプソン販売、内田写真)が開催され、全国41都道府県、250人から寄せられた789点の応募作から、入賞・入選作品28点が選ばれました。受賞作品は2月2~16日まで、大阪市北区中之島2丁目の中之島フェスティバルタワー13階スカイロビーで展示する他、龍谷大学、東京本社で巡回展をします。
【 審査員感想 】
■みうらじゅん(イラストレーター)
このスリー・ストーン・コンテスト、どんどん石の堅さが取れてきて審査してても楽しいです。ありがとう!数ある写真コンテストと違い“これはズルイ”というのがないので今後、自分なりにアイデアを練って私たちを笑わせて下さい。よろしくお願いします。
■釈徹宗(宗教学者、浄土真宗本願寺派如来寺住職)
審査員の方々が口をそろえて「今年は力作ぞろい」「レベルが高い」と語り合っていた(私だけは審査員初年度)。たしかに物語性の高いもの、スケッチ性の高いもの、テーマに深みのあるものなど、多種多様であった。個人的には石垣や石畳そのものの表情をとらえた写真を推した。
■若子jet(写真家)
今年も素敵な作品をありがとうございました。回を重ねるごとに石そのものを撮るだけでなく、石と何かを組み合わせることによって生まれた新たなユニークな作品を多くお見かけしました。石とその場にいる撮影者の関わりを感じられる作品も多かったです。また印象に残った入選作品では、石の前で石がプリントされた布を持ったシーンを撮影している作品も拝見し、創作性を感じられました。最優秀文化賞「一服」の作品は、モノクロによる時代性を感じさせながらも、人物の配置や空間の取り方、それぞれの被写体の表情作りの演出などにも配慮された、計算高い作品となっています。上位の作品を見ると、撮影するだけでなく、創造性を広げるためには、日常から色々な作品を見る習慣が必要であるとも言えます。多彩な表現、新たなユニークな作品を今後も期待しています。ありがとうございました。
■玉置泰紀(KADOKAWA/2021年室エグゼクティブプロデューサー)
早いもので第6回を迎えたスリーストーン(石垣・石段・石畳をこう呼んでいます(笑))フォトコンテストですが、明らかに新しいステージに入ったと実感できる充実した内容でした。石へのこだわりが進化(深化)して、上質なユーモアと高度な表現が一体化した作品が多く見られたのは収穫です。ダジャレが表現に結実した最優秀ユニーク賞作品「石段名物」や、フィギュアを使った斬新なアプローチの学生奨励賞の「帝国の休日」など、実にバラエティに富んでいます。最優秀文化賞の「一服」も一瞬を切り取ってタイムスリップしたかのような抒情味が素晴らしい。ここから、大きく表現の世界が広がっていく予感のする回になりました。
■佐々木広人(アサヒカメラ編集長)
国内でも屈指のニッチな写真コンテストなのに、撮り手の創造性をこれほど感じられるとは正直、予想外でした。6回目にしてレベルが一段と高くなっているのです。特に高校生の自由で豊かな発想には感服。オトナこそ見習いたいパワーがそこにありました。
■高島幸次(大阪大学招聘教授)
スマホ・ケータイの普及による一億総フォトグラファー時代は、シャッターチャンスの時空制限から私たちを開放している。結果、撮影テクニックを競うだけではない、審査員への挑戦状のような応募作が増えてきた。時代は、新たなフォトコンを模索している。
【特別審査員】
入澤 崇(龍谷大学 学長)
敬称略
石段はふつうの階段と違って詩情がある。上るときの期待感に満ちた息づかい、下るときの丁寧な足さばき。上る人と下る人の想いが静寂の中で交錯する。石段のなにげない日常がさりげなく撮られた一枚。そのさりげなさに脱帽。