審査 岩手県本部委員長 山下健二
総評
審査を通して、岩手の風土や文化が伝わる力作が多数応募されており、上位には岩手の魅力を最大限に表現した作品が選ばれました。
次回以降も、岩手の魅力あふれる素晴らしいお写真を拝見できることを楽しみにしております。
早朝の静けさと厳冬の冷気が漂い、まるで時間が止まった別世界を思わせる作品です。冷涼な青のトーンの中に覗く微かな朝焼けが、これから訪れる温もりを予感させます。左手の黄色い除雪車から奥の鉄塔へと視線を誘う構図が見事で、朝霧に霞む人工物が蜃気楼のような奥行きを生み出しています。見る人の心を静かに落ち着かせる、秀逸な一枚です。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を想起させるパネルと、傍らに佇む人物のシルエットが深い物語性を醸し出す作品です。賢治の描く世界を心配そうに見守るようでもあり、童話に入り込んだ読者の姿のようにも見え、夢に夢を重ねたような幻想的で素晴らしい表現です。