第75回朝日写真展には、全国39都府県から276人、1183点(組み写真は1点とみなす)が寄せられました。審査の結果、朝日大賞には三藤保子さん(広島県福山市)の「黄昏」が選ばれました。入賞作品は5月24日から30日まで、大阪市中央区本町の富士フイルムフォトサロン大阪(午前10時から午後7時、最終日は午後2時まで)で展示します。
◇審査委員長
林栄之(全日写連総本部理事)
◇審査員
山中健次(全日写連関西本部委員長)
福井悟、垣村早苗(同関西本部委員)
浅野哲司(同関西本部長)
【総 評】 時代の反映かデジタルカメラになって粒子がなくなり写真はぬるくなったといわれます。今回の応募作品では相変わらず祭りの写真が約半数、社会を切り取ったドキュメンタリーは少なく、切れのいいスナップ作品は影を潜めている。その原因はぬるい人間関係同様でつかず離れずの被写体との距離にあるのではと思います。何を撮ったのか何を言いたいのかわからない写真は論外として上手に纏めた作品や既視感のある作品が多い中で作者の何に感動したかという主張が聞こえる作品や斬新な視点で撮った作品を選んだつもりです。(林栄之)
講評 総本部理事 林 栄之
逆光は作品に力とドラマ性をもたらしている。明日もきっといい日になる予感と願いを感じる。
講評 関西本部長 浅野哲司
夕日でしょうか。光が優しく空間に届いています。人の影が二重になり、映画のワンシーンのような雰囲気になっています。
講評 関西本部委員 福井 悟
ショールをまいてかたまる5人。ちらっと見える女性の横顔がポイントになり、きらびやかな髪飾りがアクセントとして構図をフォローしています。
「力走」 行長好友(島根県)
講評 関西本部委員 垣村早苗
競技者に水をかけた一瞬を、高速シャッターで臨場感溢れる作品となった。後続の選手も迫り、思わず頑張れエールを送りたくなる。
「思い詰める」 太田和子(高知県)
講評 関西本部委員 垣村早苗
どういう状況だろうか。大胆な切り取りで少女の思い、葛藤、膝の傷、目力がそれを物語る。青春の哀愁を表現した秀作です。
「祭の朝」 南野憲二(大阪府)
講評 関西本部委員長 山中健次
軒に提灯を下げ、家族が忙しく簾の準備をしています。裸足の子どもはシャボン玉で遊んでいます。バタバタした大人の朝です。
「だんご四姉妹」 髙野郁男(神奈川県)
講評 関西本部長 浅野哲司
団子に着物、今風な年頃の女子たちをうまく撮りました。スマホの記念撮影ですが、4人とも笑っていないところがいいです。
「念仏の日」 梁井英雄(三重県)
講評 関西本部長 浅野哲司
黒服の大人たちと、色鮮やかな女の子の対比が面白いです。何ともいえない表情と、髪に差し込む光線が効いています。
「ひととき」 田中敏夫(備後地方)
講評 関西本部委員長 山中健次
ベンチでパパが見ているミニコミ誌をママと子が覗き込んでいます。普通の幸せなひと時。お母さんが右足で靴と遊んでいます。
「お父ちゃんとドライブ」 近藤義之(和歌山県)
講評 関西本部委員 垣村早苗
亡き夫の遺影を助手席に、運転席のおばあさんの笑顔が素晴らしい。逞しく生きて来られたお二人の人生が読み取れる作品です。
「70の手習い」 乙部エミ(埼玉県)
講評 関西本部委員 福井 悟
この写真は上から撮影したことで、こわごわ触ろうとしている人差し指にすべてが表されているいい作品です。また畳の間で割烹着という生活感はなんともいえないです。
「大安」 岩鶴敏代(和歌山県)
講評 関西本部委員 福井 悟
住吉大社での撮影だそうですが 母親の顔を省略し、ひも銭と母親を見つめる赤ちゃんの顔だけで表現した大胆な構図の写真です。できれば赤ちゃんにもピントがほしかったです。
「里山の四季(営み)」 古地幸男(大阪府)
講評 関西本部委員長 山中健次
四季の里山を、農業をモチーフに撮っています。長閑な雰囲気が良いですねぇ。しかし、農業や山里の現実は厳しいです。