第74回朝日写真展には、全国40都府県から290人、1251点(組み写真は1点とみなす)が寄せられました。審査の結果、朝日大賞には市川功子さん(三重県鈴鹿市)の「でっかいエール」が選ばれました。入賞作品は3月30日から4月5日まで、大阪市中央区本町の富士フイルムフォトサロン大阪(午前10時から午後7時、最終日は午後2時まで)で展示します。
【審査委員長】 富田健治(全日写連総本部理事)
【審査員】 山中健次(全日写連関西本部委員長)
吉田均、清水直行(同関西本部委員)
浅野哲司(同関西本部長)
【総 評】
写真界の登竜門、朝日写真展は第74回目を迎え、全国各地から多数の応募がありました。
今年の傾向としては突き出た作品が少なくレベルが平均化したように思います。審査にも時間がかかりました。肖像権の問題がクローズアップされるなかで強いスナップ写真が影を潜める一方、動植物を対象にしたネイチャーや様々なイベントを狙ったバラエティ豊かな作品が出揃ったのも事実です。デジタルフォトの進歩で自家プリントも多くなり色の調整や構図を組み立てる技術は全体的に上達しているように感じます。しかしながら広角レンズの使い方を熟知せず、ただ単に広く撮っただけで、主題・副題のハッキリしない作品も多くありました。
そんな中で上位には被写体を素早く見つけ、敏速にシャッターが切られた作品が選ばれました。次回は撮影意図が分かるメリハリの付いた作品を期待します。仕上げも大切にして下さい。(富田健治)
いろいろな想像が働きます。制服や足元から姉の年上感が自然に伝わり、顔が見えないのに微笑ましい光景です。
和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで、毛布を身にまとい暖をとるチンパンジーの光景をうまく捉えた感性は素晴らしい。
霧に覆われた街のぼんやりした色とりどりの光や真っすぐ昇る煙。静寂感が漂い、幻想的な感じがします。
患者さんの痛々しさより、赤ちゃんへの優しい眼差しが見る人をほっとさせてくれる、愛情あふれる作品です。
たくさんの魚が塩漬けされた光景のようです。頭が同じ方向を向き、何段にも重ねられ、異様な光景にギョッとしました。
車1台がやっと通る道。車がシルバーカーを押すおばあさんを追い越す際、おばあさんは草むらに逃げたのだろうか?
帽子を斜に被り客と話している店主が恰好良く、そこをすかさず捉えた作者のスナップ力は見事です。
柿の大木とほこらに雪。大根を背負う女性に「昭和」を感じ、写真全体から寒さが伝わってきます。
雨宿りしている親子と通りすがりの三人との対比がタイミングよく表現されている。いつ止むかと不安にかられるものだが雨宿りを楽しんでいる親子の様子が伝わってくる。作者のこの状況での撮影魂に脱帽。
二人の舞妓さんの笑顔が見物人全員に広がり笑顔の花が咲いているように見える。ちまきを取る瞬間を見逃さずこの場の華やかな雰囲気が感じ取れる作品となった。
穏やかな笑顔からご夫婦の信頼感や夫婦愛が伝わってくるこころ温まる作品となった。光の扱い、絞り値の選択も良かった。
差し込む光に加え、女性のしぐさと炎が効果的です。衝立の水平が曲がって見えるのが惜しいです。
薄日射し茜色に輝く霧の朝、並んで登校する児童の列。後方で見守る保護者が現在社会を象徴しています。