全日本写真連盟

令和7年合同撮影会「春の世界遺産富士山と富士五湖」

講評 関東本部委員 畑上稔生

総 評
 期間が限られた条件での撮影では天候など制限もあり苦労されたのではないでしょうか。その中で上位作品では撮影意図が明確で適切な表現方法による作品が多く見られて楽しく拝見しました。素材の発見・対象の観察などさらに磨きをかけて撮影を楽しんでください。
 一方、撮影後の自分の作品の自己評価に時間をかけることも上達への大切な道です。撮影時の思い入れから離れて客観的にみる習慣が必要です。
 皆様の更なるご活躍を願っています。

 推薦「富士山に向って」 山本茂博(山梨市)

山頂を目指して泳ぐ鯉のぼりの姿がシンプルで力強い。世界中に知れ渡る日本の象徴、富士山の魅力を明快に表現しています。写真の原点、映像に備わった単刀直入な力が遺憾なく発揮されています。五月の風に吹かれて、観る人の心の霧を吹き払ってくれるような作品です。

 朝日新聞社賞「日本風」 阪本章(甲州市)

茅葺屋根が密集し、その上にそびえる富士を望める絶好の場所ですね。インバウンドの人々の着物姿も何故か風景に溶け込んでいます。かつて災害により流失した集落を再現した観光施設のようですが、日本の原風景としてこれからもずっと残し伝えていきたいですね。

 全日本写真連盟賞「花の海に漕ぎ出す」 頴原学(甲州市)

芝桜の海に浮かぶ青いボートにご機嫌の二人が楽しい。かけた声に反応してくれたポーズと笑顔もうれしい。撮る側と撮られる側の距離感がぴったりで、同時に景色の広がりを強調するワイドレンズの選択が良かった。撮影会ならではの高揚感が伝わってきます。

 特選「神事」 内田真琴(甲州市)

山岳信仰と結びついた日本の自然観・文化観の究極が富士信仰でしょう。山麓での神事が雄大な富士を背景に厳かに行われ、世界文化遺産としての面目を再認識させられます。日の丸を先頭におそらく画面の外にも連なっている万国旗がいかにも今日的な光景です。

 特選「ネモフィラの咲く頃」 向山凱彦(甲州市)

限りなく広がるネモフィラブルーに続く富士山腹の青、そしてスカイブルーへと青を基調とした画面に吸い込まれそうな風景です。絵筆を遊ばせたようなタッチの白い雲と残雪が視線を奥へと誘い、爽快な五月の風を感じることが出来る作品です。

 準特選

「ニイー・ハオー」 角田東洋男(笛吹市)
山中湖に住み着いたコブハクチョウは人にも慣れて観光客に人気のようです。子供と白鳥がお互いに相手を観察しながら挨拶を交わすような仕草がかわいい。この瞬間にすかさずシャッターを切った作者のスナップ力が光ります。背景にさりげなく富士山を入れることを忘れなかったのも良かった。

「雨上がりの富士」 皆川明(韮崎市)
雨上がりの駐車場にたまたま出来た水たまりに映る逆さ富士です。視点の良さが斬新な作品を生みました。バイクツーリングや愛犬を連れて散歩中の人物などが二つの富士に挟まれて、見たことがない光景です。富士撮影の定番スポットで意外性のある作品です。

「花回廊」 井上雄二(南アルプス市)
画面の四分の三を色鮮やかな花々で埋め尽くした大胆な構図です。植え込まれた花の列がくの字を描いて奥に続き、そびえる富士へと導いて、縦位置の構図が活きています。右上の木の枝でわずかな空間を処理するなど、隅々まで気を配った配慮に好感が持てます。

 入選

「ひと休み」 依田辰男(南アルプス市)
花に埋もれるように花壇の作業に励む女性。ふと手を休めて顔を上げた瞬間に御苦労さまの気持ちを込めてシャッターを押しています。

「白鳥も見送り」 志村茂雄(笛吹市)
水陸両用バスは満席のようです。勢いよく湖に乗り入れるバスの水しぶきに驚く様子を見せない白鳥は、すっかり湖の主になっているようです。

「親子富士」 中村充(甲州市)
富士山と相似形の小高い花の山は頂上を白い花で飾り、どこまでも富士を主張しています。主役を奪われて富士山は影を薄めて遠慮がちです。

「まだ眠いなー」 作地正健(韮崎市)
お田植え祭りでの一コマでしょうか、たすき掛けの支度中にも眠気に負けてしまう少女の表情がユーモアにあふれています。

「富士と古民家」 手塚寿夫(甲州市)
再建され保存されなければ存続できない景観があります。一方、悠久と思われる富士の姿も永遠ではありません。どちらも写真として残したいですね。

全日本写真連盟からのお知らせ

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2022/08/01
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