全日本写真連盟

令和4年9月群馬県本部例会

審査講評 写真家・関東本部委員 桃井一至

 1席

「色づく朝霧」 大島正俊(高崎シティクラブ)
画面全体を染めるドラマチックな光景のなか、点景の人物が入ることで、ストーリーを感じられるようになりました。人物がもう少し中央寄りだとさらにバランスが良いようにも思います。よく見たら写真愛好家の方のようですね。朝の凛々とした空気感のある作品です。

 2席

「蜜を求めて(3枚組)」 田中剛(高崎支部)
珍しい縦位置での3枚組写真ですが、赤い花に集まる虫たちの三者三様の姿をよく捉えています。同じ色の花だとどうしても単調に見えがちですが、アングルや水滴、黄色い雄しべと組み合わせるなど、見ていて飽きません。小さな対象を大きく撮るのは骨の折れる作業ですが、よく撮れています。

 3席

「水辺のいのち(3枚組)」 石原圭子(高崎支部)
3枚の組み写真ですが、広角で撮影した写真を望遠で撮った2枚で挟み込む手法で構成されてメリハリが効いています。この並びが違うと印象が大きく変わりますから、現状がベスト。トンボはもう少し様子がわかるように撮れていれば、さらに良かったと思います。

 4席

「ツーショット」 高田隆盛(高崎シティクラブ)
お祭りでしょうか。女キツネのお面と同様のメイクを施した女性の対比がおもしろく描かれています。主題がはっきりわかる構図にはムダがなく、好感が持てます。稲荷神の使いとされるキツネ。ご利益がありますように。

 5席

「火柱」 金井孝(桐生支部)
夜を赤く染める炎のコントラストが印象的な作品です。このようなシーンでは人物主体に見てしまいがちですが、刻々と形を変える花火の全体像を客観的に見据えた視点が素晴らしい。シャッター速度も適切で、躍動感も伝わります。イベントでの撮影と思いますが、周囲の様子が見えないのも、功を奏しました。

 6席

「いまはもう秋」 吉澤恭子(フォトクラブ前橋支部)
どんよりとした空と海を見つめるサーファー。波もさほど大きくなく、寂しさが背中から感じ取れます。それでも一縷の望みを持って、海に出たのかどうかが気になるところです。シンプルな写真ですが、いろんな思いを感じさせてくれる一枚です。

 7席

「少年と風鈴」 近藤義明(桐生支部)
夏らしい素材がいっぱいの写真。望遠レンズをうまく使いこなして、数多くの風鈴が下げられているのがよく伝わります。子どもの視線がカメラでなく、風鈴を見ているのも良いですね。風鈴の短冊には七夕のように、願いごとが書かれているのでしょうか。もともとは占いに用いられていたという風鈴。願いが届きますように。

 8席

「散歩」 細野祐一(高崎支部)
高架の隙間から覗いたモノトーンで仕立てられたスナップシーン。シルエットで描かれた対象が、どれもフォトジェニックで目を引かれます。ご夫婦と思わしきカップルも表情が見えないぶん、見ている側の想像力が掻き立てられます。シャッタータイミングも適切で、安定して見えます。

 9席

「ブッポウソウ(3枚組)」 関谷文夫(高崎支部)
ブッポウソウという名前の鳥なのですね。中央の二羽が電線で分断された中を対比するように外を向き、一羽だけ食事中なんてあたりは秀逸。それを挟むように似た構図の2枚で違う表情を見せる技が光ります。組写真でないと表現できない面白さを感じました。

 10席

「昼下がりカフェ」 高橋淑子(高崎支部)
ボケや映り込みを駆使したイメージふうの作風ですが、日常で見落としがちな光景を説明的にならないよう、うまく捉えています。切り取り方はこの調子で良いと思いますが、ガラスの汚れが見えると現実に引き戻された感が残ります。意図的にピント位置をずらせば解決したかもしれません。

全日本写真連盟からのお知らせ

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19/4/26 初心者向け公式写真撮影ガイドブック 発売中
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2022/08/01
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