第6回千葉の鉄道・乗物写真コンテストは写真家 原繁氏により審査が行われ、入賞作品が選定されました。写真展は9月締切りの第2回千葉の祭り写真コンテストとともに、以下のとおり行われます。
『千葉の「鉄道・乗物」「祭り」写真展』
会期:2026年11月23日(月)~11月29日(日)
時間:10時~17時 (初日は13時から、最終日は15時まで)
会場:船橋市民ギャラリー 第3展示室
審査 写真家 原 繁
こんにちは。皆さんから数多くの傑作写真をご応募いただき、楽しく選考に臨ませていただきました。
「鉄道」編は、千葉県が屈指の人気エリアであり、多くの撮影者が日々多彩な作品を発表しています。被写体に恵まれている反面、既視感のある似通った構図に陥りやすいという課題もあります。オリジナリティがある一枚を手にするためには、アングルやレンズの焦点距離を変える、時間帯を吟味する、あるいはシャッターチャンスを意識的にずらすといった、一歩踏み込んだ工夫が求められます。
「乗物」編は、日常のワンシーンを切り取るスナップショットの意識が鍵となります。日頃からカメラを携え、魅力的な被写体に出会った瞬間にシャッターを切る――そうした「街歩き」の延長線上でのアプローチが理想的です。さらに、人や動物を画面に絡めることで作品に深みが出ます。人物撮影の際、肖像権への配慮は不可欠ですが、シルエットや後ろ姿、スローシャッターによる動感(ブレ)、群衆の一部として構図に組み込むなどの工夫を凝らすことで、表現の幅は大きく広がり、入賞への確かな一歩となるでしょう。
この写真を見た最初の印象が、色彩の豊かさを背景にターゲットの電車がシルエットに浮かび上がっていた点でした。流し撮りのテクニックも上手です。背景の架線柱などが綺麗に流れているのに対し、電車の車体はブレずにきっちりと止まっており、スピード感と静寂が同居しています。さらに、車内の窓を通して向こう側の朝焼けが見えている点です。この窓の光の連続性が、シルエットの電車に生き生きとした生命感を吹き込んでいます。近場に住んでいるからこそ、この一瞬の光とシャッターチャンスを捉えるために、何度も現地へ足を運び、狙い澄ましてシャッターを切った撮影者の高い技術と情熱が伝わってくる傑作です。
一目見た瞬間、強烈な朝もやと朝焼けが作り出す黄金色の世界に引き込まれました。銚子電鉄の単線運行に欠かせない、安全運行を支えるタブレット交換が、ドラマチックな光の中で捉えられています。背景が住宅街という悪い条件ですが、濃い朝もやが背景をシンプルに隠し、駅員さんと電車の存在感、そして手元にあるタブレットの丸いラインを美しく際立たせています。このようなシーンを前にすると、ついつい横位置で撮りたくなるところですが、手前に伸びるレールの輝きを大胆に取り入れた縦位置の構図にしたのが大正解です。ローカル線の情緒と人の営みが一枚に凝縮された、実に見事な作品です。
誰もが心の中に持っている「忠犬ハチ公」のノスタルジックなイメージが、現代に見事に再現された作品です。小湊鐵道の月崎駅前で、じっ~とご主人を待っているワンちゃんの佇まいがたまりません。ローカル線ならではの味わい深い駅舎、鮮やかな菜の花、そして満開の桜という場面設定が、静かに佇む一匹の犬の姿が強い印象を残します。ワンちゃんに首輪がついていない様子からも、ここがいつものお気に入りの場所なのだなと、日々の穏やかな日常が伝わってきますね。左側に配置された自転車も抜群の存在感があり、私が好きな「物語性がある写真」に仕上がっています。見る人の心をそっと和ませてくれましたね。