全日本写真連盟

蓮の花と稲妻との対照はまさに夢幻の世界を感じます。仏教では蓮の花は極楽浄土に咲く花とされていますが、白い稲妻はそんな麗しい世界観を変えてしまうほど衝撃的で破壊的なイメージです。

現代においても写真は真を写さなければならないというカメラ愛好家がいますが、カメラというものは表現のための機械であると思います。この作品はカメラによって花や花瓶を抽象化した完成度の高いアート的作品です。

オタマジャクシからカエルに成長する過程の「オタマガエル」とも言いたくなるような生き物が、柔らかい斜光を受けて蓮の葉の茎を登っている姿に生命のエネルギーが感じられ、たくましく生きて欲しいと願う気持ちになります。

水辺に生息する青い宝石といわれるカワセミの二羽が、同時に水面から飛び立った瞬間を上手く捉えています。肉眼では認識できない羽の形状や水飛沫のあり様が高速シャッターと連写の手法で見事に表現されています。

春爛漫の美しい光の中で、幼児たちが思い思いに石垣を登ったり下りたりしている姿は春の歌の音符のように見えてきます。人物の重なりのない瞬間を捉えたのが良かったです。