全日本写真連盟

多気町の冨田さんが最優秀賞に 第54回「写真公募展」各賞決まる

 第54回「写真公募展」(全日本写真連盟中部本部・朝日新聞社主催全日本写真連盟中部本部・朝日新聞社主催、エプソン販売・キヤノンマーケティングジャパン・ニコンイメージングジャパン協賛)の公開形式による最終審査が行われ、同本部の伊藤滋委員長を審査員長とする6人で各賞を選んだ。今回は全国の240人から、1294点の応募があり、1次選考通過作品76点の中から冨田弘さん(三重県多気町)の「魚市場」が最優秀賞に決まった。また、愛知県碧南市の犬塚勝正さんが優秀作家の資格を得た。
 なお、3月17日~22日に愛知県美術館で開催予定だった入賞作品展は、新型コロナウイルスの感染症の影響を考慮し、取りやめる。

 ◇協賛
 エプソン販売、キヤノンマーケティングジャパン、ニコンイメージングジャパン

【総評】
 最優秀賞の「魚市場」は光をうまく使い、すべてをバランスよく配置した。黒が占める中、所どころに入る赤が効いている。ぬれた床に映る電灯の光に、市場という「劇場」の雰囲気が伝わる。
 アサヒカメラ賞は「帰り道」。全体を暗く落とし、高架下を異次元につながる不思議な空間に仕立てた。線路の隙間から漏れた光に導かれるように、少女たちは祭りから日常へと戻っていく。
 中部本部賞の「祖母と孫」は丁寧に仕上げられたモノクロ作品だ。額や手の甲に刻まれたしわすら美しく見える。不安げな孫を守るように抱く老婆。ふたりの視線の先には何があるのだろう。
 優秀賞に選ばれた3点。冷たく張り詰めた空気感が魅力の「野を駆ける」は木立の影がいい。静寂を破る犬たちの足音、息づかいが聞こえてくる。「バレリーナ」は踊り子そのものではなく、作者の頭の中にある、幻のステージを表現して見せた。しかしタイトルは一考の余地あり。「全員無事」はシャッターチャンスの良さが光る。「一大事」ではなくてよかった。無事でなにより。
 約1300点の応募があった今回。上位に選ばれたのは、やはり作者の意図がはっきり写った作品だった。次回は祭りやイベントだけでなく、デザイン的なものや心象的なものなど、新しい視点、新しい発想で撮られた作品を見たい。

(朝日新聞名古屋本社報道センター フォトディレクター 山本正樹)


▽審査員(敬称略)

【1次審査】1月16日実施
中部本部長 山本正樹、同委員長 伊藤滋、同委員 下里幸子、渡会幸雄、河合利弘、小幡哲資、坂井憲治、近藤龍宏、溝田幸輝、田辺三郎、鎌田美津子

【2次審査】2月19日実施
中部本部長 山本正樹、同委員長 伊藤滋、同委員 宮田典彦(愛知県本部委員長)、加藤徹(岐阜県同)、牛場和美(三重県同)、アサヒカメラ編集長 伏見美雪

 最優秀賞「魚市場」 冨田 弘(多気町)

 アサヒカメラ賞「帰り道」 岡本 邦良(刈谷市)

 中部本部賞「祖母と孫」 植木 政弘(鈴鹿市)

 優秀賞「野を駆ける」 犬塚 勝正(碧南市)

 優秀賞「バレリーナ」 田中 和則(江南市)

 優秀賞「全員無事」 岡島 章(春日井市)

 秀作

「仲良し」 加藤 譲(碧南市)

「眼差し」 助川 正義(安城市)

「歓声」 佐古 忠夫(小牧市)

「躍動」 磯貝 美代子(豊明市)

「絆」 篠田 重規(岐阜市)

「夕暮のひと時」 広田 昭男(関市)

「踊りの輪」 鈴村 龍祐(可児市)

「突風」 増木 和典(四日市市)

「父と子」 国本 三郎(鈴鹿市)

「兄弟」 坂倉 美智子(鈴鹿市)

 入選

「家路」 徳永 啓三(名古屋市)

「レッスン」 西原 洋一郎(名古屋市)

「ハイタッチ」 三森 美邦(名古屋市)

「闖入」 坂口 ミキ子(豊橋市)

「ファミリー」 木村 晴子(一宮市)

「一緒にお迎え」 大島 雅子(春日井市)

「親子」 大島 守(春日井市)

「私も参加」 神戸 敏文(春日井市)

「願いを込めて」 外勢 肇(春日井市)

「ラストスパート」 戸田 米保(春日井市)

「出番前」 岡本 明(刈谷市)

「こっちに来て!」 倉知 恵子(刈谷市)

「眠りにつく頃」 植山 久雄(豊田市)

「タトゥーのごとく」 保口 孝夫(豊田市)

「寒稽古」 水野 政義(豊田市)

「お迎え」 織田 善嗣(安城市)

「寒中馬追い」 前川 滋(安城市)

「見返り美人」 山口 妙子(安城市)

「人面壁」 原 紹郎(稲沢市)

「一休み」 谷 昇(大府市)

「祭りの父娘」 石橋 法久(愛西市)

「格闘」 清田 正真(幸田町)

「淡霧の春」 浅野 秀信(岐阜市)

「青春」 曽我 為吉(多治見市)

「暖かいね」 熊沢 一郎(中津川市)

「セーフ」 五島 高久(可児市)

「一心同体」 星谷 義孝(可児市)

「朝霧」 上村 雅(津市)

「出陣」 草深 弘良(津市)

「昼下がり」 城田 清延(津市)

「夏の日」 興村 良輔(四日市市)

「花園」 加藤 洋子(松阪市)

「光の響奏」 加藤 澄子(桑名市)

「朝陽」 桑原 民雄(桑名市)

「ハプニング」 服部 恒丸(桑名市)

「ご挨拶」 羽根 和子(桑名市)

「夕涼み」 羽根 俊夫(桑名市)

「ラブラブ」 伊藤 隆彦(鈴鹿市)

「なかよし」 上川 登(鈴鹿市)

「重いよ」 遠藤 義光(鈴鹿市)

「和尚さんと」 加藤 清史(鈴鹿市)

「激戦」 楠見 浩(鈴鹿市)

「バレリーナ」 小林 紀子(鈴鹿市)

「リラックスタイム」 竹内 静恵(鈴鹿市)

「姉妹」 長太 正雄(鈴鹿市)

「夕景」 藤原 雅(鈴鹿市)

「薫風」 万代 昌克(鈴鹿市)

「急ぎ足」 梁井 英雄(鈴鹿市)

「とどかぬ想い」 山川 充子(鈴鹿市)

「ご挨拶」 山脇 佳世子(鈴鹿市)

「出番前」 城島 正子(伊賀市)

「ビルの空間」 牧戸 勲(伊賀市)

「一心不乱」 坂井 忍(多気町)

「祭 終えて」 塩谷 紀生(多気町)

「孤独」 今井 艶(大紀町)

「ふるさと 冬」 村上 忠司(大網白里市)

「キリマンジャロ」 山口 守(富山市)

「ハッピータイム」 松村 華音(鯖江市)

「家路」 武田 雅男(奈良市)

「やっさいほっさい」 西村 充康(奈良市)

 優秀作家招待作品「スラムの子」 花木 義孝(四日市市)

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2022/08/01
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