「いつまでも守り続けたい日本の自然」をテーマに、今年で34回を迎えた「日本の自然」写真コンテスト(朝日新聞社・全日本写真連盟・森林文化協会主催、ソニーマーケティング株式会社協賛)。プリント作品を対象とした「一般部門」には、5947点の応募があり、入賞・入選作83点が選ばれた。昨年新設された30歳以下からウェブで作品を募る「スペシャル部門」には、昨年の2倍を超える1629点が寄せられ、最高賞「ソニーネクストフォトグラファー賞」など26点が決まった。
■審査委員(一般部門・敬称略)
中村征夫(写真家)
福田健太郎(写真家)
前川貴行(写真家)
吉野信(写真家)
米美知子(写真家)★4K賞も
大野明(朝日新聞東京本社映像報道部長)★4K賞も
小林正明(同大阪本社映像報道部長)
佐々木広人(アサヒカメラ編集長)
ソニーマーケティング株式会社★4K賞のみ
■総評(一般部門)
動物写真のバラエティーが豊富になり、生命、生きものの姿を巧みに描写した作品が増えた。動物の次の行動を読みながら、辛抱強くシャッターチャンスを待った力作が目立った。特に最優秀賞のような鳥のいい写真、それも一羽でなく、数羽がからんだ作品はなかなか撮れるものではない。
その半面、風景写真が弱かった。定番の撮影地ばかりで、見てすぐあそことわかってしまう。「残したい」というテーマにふさわしい写真は少なかった。カメラがよくなって何でも写るようになり、これまで風景写真を主に撮っていた人が、動物写真にくら替えしているのかもしれない。また毎年指摘される過剰な画像処理は相変わらずで、せっかくいい写真を撮っているのに選に漏れたものが多かった。
ソニーマーケティング「日本の自然」写真コンテストページ
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アオサギのヒナの並び方がシンメトリックにバランスがとれた画面構成で、なおかつ力強い。成長の次の段階を予感させる。こうなるであろうという予測のもとにアングルを決めて、ひたすら待っていたのだろう。その根気強さが作品に表れている。
ホテイウオが大きなおなかを引きずるように岩のくぼみでの産卵に向かっている。産卵した卵はオスが守る。産卵後、やがて死んでいくというホテイウオの一生が終わる直前をドラマチックにとらえた。大きなおなかの写真は珍しく貴重だ。
数少ない固有種であるニホンカモシカ。一見地味な写真だが、親にも子にもしっかりピントが合い、草をはむ子供のちょっとした動きもしっかりとらえた写真だ。もう少し近づくと逃げそうな、ギリギリの距離で撮っているのがいい。