【関東本部委員・佐藤親正】
多重露出でメルヘン的効果を表現
【写真-1 蔵】この写真は2月号に使用したサンプル作品と同じ白川郷で撮影した作品ですが、多重露出の方法が違いますので比較して欲しいと思います。ソフトな表現の中に奥の蔵と手前の稲穂にもピントが合っている作品にしたいと考えて、多重露出で撮影しました。
撮影プロセス①三脚にカメラを取り付けて、蔵にピントを合わせた画角と稲穂にピントを合わせた画角と、両方が良いフレーミングを決めます。②カメラの設定をします。設定方法については、2月号を参照して下さい。③多重露出の回数は、「2回」・自動ゲインは「する」に設定。絞り優先オートで、絞りは「2回」とも開放にします。④多重露出の1回目のシャッターを奥の蔵にピントを合わせて切りました。写真「多重露出-1」(参考のため多重露出とは別に撮影)です⑤ズームリングに触らないように注意して、多重露出の2回目を手前の稲穂にピントを合わせて切りました。写真「多重露出-2」(参考のため多重露出とは別に撮影)です⑥カメラが多重露出の1回目と2回目の画像をカメラの中で自動的に合成した写真が「写真-1 蔵」です。
〈データ〉ニコンD4 ニッコール28-300(撮影 70ミリ域)F3.5-5.6 ISO400 絞り優先露出 F5(開放)1/1600秒 ホワイトバランス オート 多重露出・自動ゲイン(する) 白川郷 2013.9.8.
【写真-2 長屋門】我が家の近くに在る長屋門です。撮影した日は、秋の長雨が続いている昼下がりで、傘を差して撮りました。母方の実家に帰省した思い出が浮かび、明瞭な思い出とあいまいな思い出が混濁した記憶です。こんな思いを表現したくて、多重露出で撮影致しました。
撮影プロセス①24-70ズームレンズの70ミリ域で画角を決めました。稲穂に近づき稲穂がはっきり表現できる事に留意しました。②多重露出の回数は、「2回」・自動ゲインは「する」に設定。絞り優先オートで、絞りは「2回」とも開放にします。③多重露出の1回目のシャッターを奥の長屋門にピントを合わせて切りました。④ズームリングに触らないように注意して、多重露出の2回目を手前の稲穂にピントを合わせて切りました。⑤カメラの中で1回目と2回目の画像を自動的に合成した写真が「写真-2 長屋門」です。
〈データ〉ニコンD700 ニッコール24-70 (撮影 70ミリ域) F2.8 ISO200
絞り優先露出 F2.8 1/125秒 ホワイトバランス オート 多重露出・自動ゲイン(する) 加須市 2009.10.2.
【写真-3 蓮】 所属支部の撮影会で撮った写真です。蓮は花が咲くのと同時に実が付くので、仏教では因果を表す象徴となっております。そんな神秘的なイメージを表現したくて、レフレックスレンズを使用して多重露出で撮影した作品です。
撮影プロセス①ニッコール・レフレックスレンズは焦点距離500ミリなので、多重露出の1回目と2回目の花の位置を決める事が微妙で大事になります。時には、5ミリカメラ位置を上下左右に変える事が重要になります。②ニッコール・レフレックスレンズは焦点距離500ミリですが、絞りはF8と固定されており、被写界深度が浅く、顔の鼻にピントを合わせると目にはピントが外れるほどです。ですから、表現したい急所にピントを合わせます。③多重露出の回数は、「2回」・自動ゲインは「する」に設定。絞り優先オートで、絞りは「2回」とも開放(ニッコール・レフレックス500は絞りF8で固定)にします。④多重露出の1回目のシャッターを奥の花にピントを合わせて切りました。④多重露出の2回目を手前の花にピントを合わせて切りました。⑤カメラが多重露出の1回目と2回目の画像を合成した写真が「写真-3 蓮」です。
〈データ〉ニコンD700 ニッコール・レフレックス500 F8 ISO200 マニアル露出 F8
1/1250秒 ホワイトバランス オート 多重露出・自動ゲイン(する) 行田市 2009.6.27.
留意点
1.この回の多重露出は、レンズの絞りを開放にして撮影します。多重露出の2回の露光とも絞りを絞りますと、被写界深度が深くなって、画像に違和感がでてしまいます。
2.ズームレンズを使用する場合は、ピントを合わせる時に、ズームリングを動かさない様に注意する必要があります。
3.この回の多重露出も、1回目と2回目を2枚の写真として別々に撮り、3月号で説明した補足説明の方法のようにフォトショップで合成する事もできます。
写真に関する様々な、質問、疑問に佐藤さんが答えます。
ホームページのお問い合わせフォームから
【質問項目】はその他お問い合わせを選択
【質問事項】の欄に記入してください。
講座一覧 |
---|