全日本写真連盟

【関東本部委員・佐藤親正】

デジタルカメラの普及に伴い、動きを表現した作品が少なくなってきているように感じています。以前のデジタルカメラは1秒のシャッタースピードでもノイズが出たりしましたが、今日の機材ではその心配は無いので、もっと三脚を使いスローシャッターで、表現の幅を広げて欲しいと考えております。デジタルカメラはモニターで動きや、露出の度合いを確認できる利点を活用しましょう。これから、三脚を使う事で表現を可能にできる手法を考えてみたいと思います。

ＮＤフィルターで動きを表現
NDフィルターは通常、ND2・ND4・ND8・ND400があります。私は、PL（反射光の調整）と共にND８（3絞り分暗くなる）を２枚、ND４００（９絞り分暗く）を１枚、何時も携帯しています。風や水の流れなど動きを表現するには有効となります。

使い方
1.ND8は、2枚重ねても日中の撮影であれば、ピント合わせも露出もオートで大丈夫だと思います。

2.ND400を使用する時は、フィルターを装着しないで、フレーミングしてピントを合わせます。その後、ND400フィルターをピントがズレないように注意して装着します。ピント合わせは、オートでピントを合わせるとシャッターを押す時に動く事がありますので、ピントを合わせるのは、マニュアルで合わせます。

3.露出についてはND400装着前に、絞り優先オートで露出を決めて、一枚テスト撮りをします。適切であれば、この時の絞りとシャッタースピードを確認しておきます。次に露出モードをマニュアルに設定して、絞りをセットし、シャッタースピードを以下の表に合わせて決めます。例えば、フィルター未装着が1/60であれば、マニュアル露出でND400装着時は、8秒にセットします。

＊私は、この表のコピーをフィルターケースの中に入れて携帯しています。とても便利です。

注意する事
1.ワイドレンズでは、フィルターによるケラレに注意してください。
2.三脚は、しっかりした物をお勧めします。
3.自由雲台はブレにつながる事がありますので、注意してください。
4.レンズの手ぶれ防止機構はＯＦＦに。
5.ND400を装着すると、ピントを合わせる事はできません。装着前にピントを合わせ、ＮＤ400を装着する時にピントが動かない様に注意してください。
6.光線が直接レンズに当たると、光のかぶり現象が起こり、クリアーな映像が望めませんので注意が必要です。

ND8を使用したサンプル作品

1.この作品は、猪苗代湖・天神浜の東湖で撮影しました。風が強く吹いていましたので、風を表現したいと考えました。ND8フィルターを装着しないと、1/30秒のシャッタースピードでした。風に揺れる葦を表現するには、中途半端だと思いND8を装着し0.3秒で撮影。丁度良く風に揺れる葦を表現できたと思います。
（ニコンD2X　18-200 F3.5~6.3　ND8を1枚使用　ISO100　F27　0.3秒　福島県裏磐梯・東湖 2006.12.10.）

2.神栖市・日川浜の早朝に撮影した風力発電の風車です。打ち寄せる波と風車の羽根に動きを表現したいと考え、ND8を2枚重ねて装着。シャッタースピードを1/6秒に設定しシャッター優先オートで撮影しました。
（ニコンD700　24-70 F2.8 ND8を2枚使用 ISO200　F11　1/6秒　茨城県神栖市　2010.10.24）

3.清流に美しい落ち葉が沢山流れていました。この落ち葉が流れる様子を表現したいと思いました。最初にPLフィルターを装着して、川面の反射を調整し、PLフィルターが回らない様に注意して、ND8を装着して撮影。手前のゆっくり流れる落ち葉と川の中心の早く流れる落ち葉の対比も表現できました。PLとND8を装着しても露出は絞り優先オートで大丈夫です。
（ニコンD700　24-70 F2.8　 PLフィルターとND8を1枚使用 ISO200　F13　1.6秒　2009.10.31.　福島県西郷村・雪割橋）

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