田沼武能氏追悼「一写入魂の会」に約500人が参加
前会長の功績を振り返り別れを惜しむ
全日本写真連盟の会長を22年にわたり務めていただき、写真家として初めて文化勲章を受章した田沼武能前会長の足跡を振り返り、追悼する「一写入魂の会」を5月31日、東京・恵比寿のザ・ガーデンホールで開催しました。会には全日本写真連盟の会員約70人をはじめ、写真関係者など約500人が参加しました。司会を元NHKアナウンサーの三宅民夫さんに務めていただき、発起人代表として女優でユニセフ親善大使の黒柳徹子さんからお言葉をいただきました。会の終了後は、田沼前会長の写真展を視察するなど、亡き前会長の功績とお人柄を偲ぶ会となりました。
一写入魂の会は全日本写真連盟、朝日新聞社、一般社団法人日本写真著作権協会(JPCA)、公益財団法人日本写真家協会(JPS)、東京工芸大学、東京写真記者協会の6団体が実行委員会となりました。
会場のステージには文化勲章および勲記のほか、天皇陛下から拝領した祭粢料が飾られました。また、入り口前には田沼さんの等身大パネルが登場し、参加者は記念写真を撮るなどして楽しみました。
田沼夫妻と長年のお付き合いがある東儀雅美さんによる竜笛の演奏で会が始まり、司会の三宅民夫さんから番組に登場した時の田沼さんの印象を語っていただきました。
その後、田沼さんの足跡を振り返る意味を込めて、昨年10月にNHK総合テレビで放送された番組「あの人に会いたい 田沼武能」を上映させていただきました。田沼さんの江戸っ子口調を聞くと、生前の元気な時の様子が思い出されました。
発起人を代表して黒柳徹子さんからお言葉をいただきました。初めて一緒に仕事をした時、いつもは忘れてしまうカメラマンの名前を、「田沼」だけは忘れられなかったこと。ユニセフ親善大使を引き受ける際、田沼さんが同行する写真家に手を上げてくれ、それ以来、危険で困難な旅を続けてきたこと。明るく話されていた黒柳さんでしたが、最後に「また行きたかったのに・・・」と涙に詰まると、会場からもすすり泣く声が聞かれました。
最後に、家族を代表して田沼敦子夫人からお礼の言葉をいただきました。写真家の地位向上のために、日頃から田沼さんが思いを巡らせていた様子が伝わり、写真界の偉大な恩人を失った寂しさを痛感させられました。
会終了後は、隣接する東京都写真美術館で6月2日から始まる写真展「田沼武能 人間讃歌」を、参加者限定で視察させていただきました。田沼さんが生涯現役として伝えたかったメッセージが、作品一枚一枚から伝わり、改めて写真が持つ力と田沼さんの優しさを私たちに教えてくれました。
会に参加された方には記念品として、発刊されたばかりの田沼さんの写真集「武蔵野 わがふるさと」や、「フォトアサヒ」で連載していた「私の写真人生」をまとめた冊子などをお持ち帰りいただきました。今後も田沼さんを偲び、見返していただければと思います。